2007年 6月 6日 (水) 

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉183 八木淳一郎 仙台市の天文台

 仙台市の中心、西公園の中にある仙台市天文台は戦後の貧しいさなかの昭和29年に市民と行政が一致協力して建設し、昭和30年から一般公開されるようになりました。

  その後、地元新聞社の寄付によってプラネタリウムが併設されたり、望遠鏡も新型のものに更新されるなど施設の充実が図られながら50有余年、多くの市民に親しまれてきました。地元ばかりか盛岡、岩手や全国の子供たちにも宇宙に関心を持たせる重要な役割を果たしてきました。東北大学天文学教室との連携で最新の天文学の知見を一般市民に啓蒙(けいもう)したり、宮沢賢治の精神を学んだりする科学と情操になくてはならない存在として今日に至っています。

  その仙台市天文台が来年、仙台の西の郊外に移転し大きく生まれ変わろうとしています。今年秋には今の天文台が解体されると聞き、わたしども盛岡天文同好会の有志は、その姿を脳裏に焼きつけ、先陣の足跡に多くを学ぼうと仙台に向かいました。

  天文台に到着するや早速、天文台の小石川正弘主任による天文台の歴史や生まれ変わることになった経緯の熱弁を聞き、たくさんの人をはぐくんだ天文台の観測室や展示室、工作室など隅々までじっくりと見せてもらいました。時代の要請とはいえ、やはり惜別の情が募る思いでした。

  新しい天文台は仙台の西、車でおよそ20分ほどのところに現在建設中です。建設資材の盗難事件が頻発するご時世から、休日には建設現場には一切立ち入り禁止とのこと。しかたなく近くの住宅地の小高い場所から眺めることにしました。塀でぐるっと囲まれた中に建物の威容が姿を表し始めていました。

  ざっと見渡した大きさは盛岡の子ども科学館3つ分くらいでしょうか。この中に大型プラネタリウムと口径1・2メートルの大望遠鏡をはじめ、太陽望遠鏡、口径20〜50センチの望遠鏡数台が設置される計画と聞きます。

  そしてまた、仙台市天文台の特長でもある、いつでも市民が自由に出入りして利用できるような数台の中〜大型望遠鏡数台を備えた観測施設も併設されることになっています。現在のプラネタリウムや41センチ反射望遠鏡は展示品として活用されるとのことでした。

  ともすれば、お金がない、を口実にして面倒を避けたいのが行政に携わる人に限らず、人情なのかもしれません。天文教育という一分野を通してなくてはならないものはお金より何より、情熱と気概、理解力と知恵、そしてその結果なのだということを、仙台の市民と行政は教えてくれます。
(盛岡天文同好会会員)


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