ようやく朝晩、さほど冷気を気にせずに過ごせるようになってきました。家人の丹精した庭の小さな畑でも、一番乗りのアスパラが食卓をにぎわせてくれます。やがてトマトやキュウリがわんさと実ることでしょう。家庭菜園をはるかに凌(しの)ぐ規模で土と格闘している方々の苦労と、そして収穫の喜びはいかばかりか、と思いをはせる次第です。
さて今週の一冊は、ひとりの農家のおじいさんと、彼が我が子のように育てた野菜たちが繰り広げる、一夜のできごと。祭りの相談にでかけたおじいさんの留守の間に、われらも祭りを、と騒ぎ始めたのはテントウムシ。日ごろから評判の良くない「害虫」の振る舞いに怒り心頭、でもなすすべのないトマトたち。そこへゴーヤが割って入って! やがて時ならぬ騒ぎに目覚めたおおぜいの野菜たちが加わり、いつの間にか、それぞれの得意技を繰り出しての月下のカーニバルへと、夜の畑は一変します。帰ってきたおじいさんもごくごく自然に祭りの輪へ。大地の恵みと、それを等しく享受するものたちの連帯感のすばらしさ。痛快、豪快、ダイナミックな筆さばきに思わず読者もウズウズとなってしまいます。
【今週の絵本】『はたけのカーニバル』田島征三/作、童心社/刊、1365円(税込)4歳〜(2002年)
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