2007年 6月 8日 (金) 

       

■  〈校長室の窓から〉161 野口晃男 「一目を置く」知恵を

 5月21日は運動会です。校庭では子供たちがかけっこの最中です。走力によって紅白を決めているのです。

  徒競走は走る速さで順位が決まります。遅れている子が少しでも追いつこうと懸命に走っています。あの頑張りがあの子の足を鍛えているんだなと分かります。

  鍛えられているのは、足だけではありません。心も鍛えられているはずです。

  自分より足の速い人がいて、その人にはどうしてもかなわないと知り、いわゆる「一目を置く」ことの心地よさも同時に味わっているはずです。はじめは悔しさがあったとしても…。

  勝ち負けにだけこだわっていると、負けたときには一目置くどころか、いまわしい嫉妬(しっと)心や敵対心が生まれてしまいます。

  一目を置くことを覚えると、嫉妬心ではなく尊敬とかあこがれとかの感情が生まれます。

  尊敬もあこがれも、嫉妬と違って相手を敵とは見ていませんから、競技が終わったあとには、友好の雰囲気が広がり相手を祝福する感情が生まれます。

  人間には、それぞれ得意なこともあれば苦手なこともあります。

  得意なことだけが人を育てるわけではありません。苦手があることによって、友達の素晴らしさが分かり、人の痛みも分かるのです。

  運動会ではいろいろな競技があります。わが子が1等になれなかったとしても、そのことに話題を集中させないで、1等になった友達を祝福することに話題をもっていってはいかがでしょうか。

  もし、あなたの子供が1等になった子を素直に祝福できるようであれば心から喜びましょう。なぜならこれから続く長い人生で、いろいろな障害に遭遇したとしても、その子には上手に生き抜く知恵がついてきている証拠なのですから。
(盛岡市教育相談員)

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