■ 〈経済〉意欲ある企業をサポート 岩銀の高橋新頭取に聞く
|
| |
|
|
| |
 |
|
| |
高橋真裕岩手銀行頭取 |
|
岩手銀行創業75周年の節目の年に、同行9人目のトップに就任した高橋真裕新頭取(57)。県内のリーディングカンパニーの先導的役割を担いながら、メガバンクの進出、ゆう貯銀行誕生、地銀の再編の動きなど環境の激しい時代に船出した。人材育成と金融機関としてのクオリティー向上を掲げる高橋新頭取に、今後の経営に対する姿勢、かじ取りなどを聞いた。
│9代目の新頭取に就任した感想は。
高橋頭取 75年の歴史を有する当行の重責を感じ緊張している。大変な重責ではあるが与えられた職務を自覚し私ができる最大限の力を発揮したい。
│最近の岩手の経済をどう認識しているか。
高橋頭取 国内景気は順調に持続拡大しているが県内経済全体ではまだ厳しい状態。製造業と非製造業の景況感に格差が生じている。北上市を中心とした地域では自動車や電子部品関連の製造業は好調。一方、非製造業は芳しくない。特に建設業や卸・小売業などは。県内の産業構造が非製造業が多くを占める形態のため、雇用回復までに到らず有効求人倍率は0・7%台を推移している。
│県内経済を改善するための地域金融機関としての役割は。
高橋頭取 県南のある成長企業の自動車部品メーカーはプレス機から業態変換した会社。今後、自動車関連産業が伸びると判断し社員を1年間、大手自動車メーカーに派遣し研修させた。新分野への進出にはまずは経営者の自助努力とリスクを取る覚悟、高い志が必要。当行では地域金融機関として資金面の支援、情報や取引先の紹介などでサポートした。1社でも意欲ある企業を側面からサポートすることが役目。その結果、県内から7社のほか新たな上場企業が生まれるよう力を入れたい。
│地域金融機関を取り巻く変化も激しいようだが。
高橋頭取 大きな変化の時代。地域間の経済・情報格差、予想以上に加速している少子高齢化、団塊の世代の大量の退職や、10月のゆう貯銀行の誕生、08年の政府系金融機関の統合、新たな自己資本比率の規制、再編の流れなど大変な環境変化の中にある。
│ゆう貯銀行の県内での預貯金シェアは24%。トップの岩手銀行は28%。ゆう貯銀行はどの程度脅威なのか。その対応は。
高橋頭取 対等な競争条件が確保されるかどうか。政府保証が付くかどうか。186兆円の資金力があり全国に店舗がある。脅威でないとは言えないが、どうにもならないほどの脅威ではない。当行は75年間に営業力、人材力を育て活用してきた。優秀な人材も育っている。変化をチャンスととらえ十分に対応できる。
│県内にはメガバンクや隣県の金融機関が進出している。どう考えるか。
高橋頭取 不良債権処理を脱したメガバンクや東北の地銀が県内のマーケットに攻めてきている。当行でも八戸、仙台、東京の各地区に営業攻勢をかけている。対抗上、当然なこと。当行の強味は取引先への高付加価値サービスを提供する情報営業、ソリューション(問題解決)営業、そして最後まで面倒をみる姿勢。県内マーケットは深く掘る。競争を勝ち抜いていける。恐れは何もない。
│現在、中期経営計画(09年3月)を推進中だがメーンの経営の課題は。
高橋頭取 収益力の強化が一番大きな課題。法人部門に力を入れ、攻めの経営に徹し収益力の向上に努めたい。八戸、仙台、東京の各地区でしっかり結果を残したい。盛岡地区、花巻と一関地区の人口集積地区で営業力をさらに強化したい。今期は当計画の2年目。中だるみせず最終年の目標に向けて力を注ぐ。
│人材育成にも重点を置くようだが。
高橋頭取 当行には有能な人材が多いが、どちらかといえば言われたことはきちんと処理する受動的人材が多い。自発的に問題を発見し解決する能動的人材を多く養成したいと考える。優秀な支店長の下で働き現場で育てる。そのような育成に取り組む。当行では2000年から中途採用を積極的に開始した。行内で育成していては遅れてしまう分野に優秀な人材が入行している。成果も上がり異質な文化が既存行員に新しい刺激も与えている。これからも積極的に採用する。
│県内金融機関の再編の可能性や再編への姿勢は。
高橋頭取 県内でも盛岡信用金庫と二戸信用金庫が合併に向け動き出した。ついに岩手でも始まったと考える。金融再編はいつ起きても不思議でない段階に突入した。再編は相手が必要。どこの金融機関と見合いし結婚するかということ。当行の自己資本比率は13・7%、含み益は753億円。世界的な格付け機関のスタンダード&プアーズ(S&P)から「A(シングルA)」を取得した。75年の間に培われてきた財務体質のたまもの。もし合併の事態になっても主導的立場で対応できる。
│新頭取としてどのような姿勢でかじ取りをするか。
高橋頭取 当中期計画では10年後の同行の姿として「東北で最高のクオリティーとそれにふさわしいスケールをもつ銀行」を長期ビジョンに掲げた。人材育成がされ、行員が生き生き能力を発揮できる職場づくり。そしてお客様との信頼関係。これがクオリティーであり企業価値となる。私の最初の役目はこれまでの継承と発展。
│座右の銘は。
高橋頭取 小説家のレイモンド・チャンドラーの言葉。「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」。 |
|
|
|
|
|
|