2007年 7月 5日 (木) 

       

■  〈賢治の歌〉801 望月善次 鳥の毛はむしられて飛びて

 鳥の毛は
  むしられ飛びて
  青ぞらを
  羽蟲のごとくひかり行くかな。
 
  〔現代語訳〕鳥の毛はむしられて、たかく舞い上がって、青空を、まるで羽のある虫のように光って行っています。

  〔評釈〕「大正七年五月より」〔「歌稿〔B〕」〕五十首中の二十三首目の「670歌」で「歌稿〔A〕」によれば、「折壁」に関連する作品だと考えることができよう。なお、「歌稿〔A〕」においては、結句は、「流れ(行くかな)」であった。「鳥の毛は/むしられ飛びて」の「むしられ」が、具体的にはどうしたことに起因するのかは、分かりにくいが、それはそれとして、一首の中心は、そのむしられて飛んでゆく羽の様子が、「羽虫(ハジラミを指す場合もあるが、この場合は、羽のある小昆虫だと考えてよいだろう。)」のように光って飛んで行くというところにあることは間違いない。「羽虫」は、文語詩「岩手公園」の「羽虫の群のあつまりつ」のように、賢治にとってはプラス評価のもの。

  (岩手大学特任教授)

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