2007年 7月 7日 (土) 

       

■ 〈急拡大する中国ビジネス〉冷凍水産物は大連へ輸出 ジェトロの柳川所長に聞く

     
  柳川仁所長  
 
柳川仁所長
 
  ジェトロ(日本貿易振興機構)盛岡貿易情報センターは06年県輸出入実績を発表した。それによると、輸出入合計は前年比30%増の3503億円で、輸出が同比31・1%増の3054億円と初の3千億円の大台を記録した。輸入は同比24・1%増の454億円。水産物輸出が前年に比べ8倍増の20億円と驚異的な伸びを示した。自動車は同比17・8%増の1965億円と順調に推移し、電気・電子部品が前年に比べ3倍の576億円となり勢いを増している。今年3月末に県内企業631社にアンケート。回答企業は153社。同センターの柳川仁所長に、県内企業の海外ビジネスの現況や今後の課題などを聞いた。

 −今回の輸出入実績の特徴は何か。

  柳川所長 まず水産物輸出の中で一番多い冷凍水産物の輸出が伸びた点が特筆すべき。タラ、サバ、サケなどが中国向けに輸出されている。その7割ほどが県事務所がある大連市に運ばれている。大連の加工食品工場で解凍され、切り身などになり、パック詰め商品となる。その後、ほとんど欧米や日本などに輸出されている。健康志向などで魚への需要が高いなどが背景にあるようだ。中国国内では、川魚の消費が中心でほとんど海外向け。

  −電気・電子部品の輸出も目立つが。

  柳川所長 モノづくりで定評がある地場企業の頑張りといえよう。キーとなる部品を県内で製造し、中国やフィリピン、ベトナムに輸出。その部品を現地工場で組み立て、半製品として輸入している。アジアでの分業態勢が本格化している。

  −県内企業の現地工場化も進行しているようだが。

  柳川所長 42社が現地化を展開しており予想以上に進行している。中国、香港、フィリピン、ベトナム、マレーシア、タイ、韓国、台湾やアメリカ、ドイツなど世界15カ国に工場や事業所など73カ所ある。80年代後半から90年代には、県内からの大手誘致企業の撤退や海外移転などに伴い現地化が進んだ。しかしここ数年は、明らかに地場経営者の経営判断で現地進出を果たしている。

  −輸出が急増している中での課題は何か。

  柳川所長 水産物輸入に関していえば、地場での貿易環境が未整備な点が挙げられよう。県内の水産物は、県外の業者が買い付け海外に運ぶ。物流も含めすべての国内外の業務を請け負う。県外商社が潤う。活用する港は、北海道の港や八戸港、下関港など。県内の貿易港の利用率は釜石港、大船渡港だが、全体の1・5%にすぎない。

  −どのように地場で展開すればよいか。

  柳川所長 八戸では民間企業が貿易会社を立ち上げ、八戸港を活用して地域の貿易力を高めるような態勢を整えている。貿易に関する専門的な実務を有する商社OB数人を採用した。岩手県内でも貿易実務が担当できる会社や組織が地場にあれば、さまざまな仕事は発生し、地域活性化に通じる。今後の展開も考え、実務経験のある人材を早く探すことだろう。

  −今後も、貿易の促進は県内経済の活性化になるか。

  柳川所長 今の時代、岩手、盛岡の産業でグローバル経済の影響を受けない分野はほとんどない。海外の製品は多数、県内にも浸透し、既にグローバル経済の中にいる。しかも、岩手の場合、少子化が急速に進んでおりマーケットが縮小傾向にある。県内の地場企業の経営者の意識も変化している。県内と海外の2つのマーケットをにらみ、事業展開を考えている経営者も増えてきた。07年の輸出入実績も上向きの数字が出よう。当センターでも昨年から個別案件に対してのアドバイスを開始した。県内の地場企業から国際化企業がたくさん誕生するよう力を入れたい。


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