2007年 7月 8日 (日) 

       

■ 〈新・アートの評判〉2 岩淵俊彦 「ピカソ展」

 美術に興味がなくても、ピカソを知らないという人にはめったにお目にかからない。

  平日にもかかわらず、岩手県立美術館のピカソ展は、やはり多くの人でにぎわっていた。

  ピカソは、言うまでもない現代美術の体現者であり、そして同時に、ワケガワカラナイ芸術の代名詞である。

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  極端なデフォルメや単純化によって、どこが良いのかがワカラナイ。人体が、目、鼻、口すべてバラバラにされて再構成されることで、「絵画は美しい」という前線が崩れて、理解できない。ワカラナイから感情に訴えてこない、共感できないということになる。

  しかし、ワカラナイ要因を列挙していくと気づくことがある。それはそのままピカソ作品の特徴であり、彼が成し遂げてきた変革にほかならないのだ。

  ワカラナイと言いながら、多くの人がピカソ展に足を運ぶのは、実は心の奥底でピカソを理解しているという事ではないだろうか。

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  今回のピカソ展では、多くの版画作品に出会うことができた。長い時間をかけて習得する版画の技も、天才にかかれば、こともなげにその真髄に到達し、夥(おびただ)しい作品を産み出してしまう。
  「夜、少女に導かれる盲目のミノタウロス」ぼんやりとした光に照らし出される夢の中の出来事のような世界。アクアチントの豊かな闇に、引き込まれるように足を止めた人も多いのではないだろうか。

  そして晩年にいたるまで衰えぬ制作意欲には圧倒される。90歳にもなろうというおじいちゃんが、性器も露(あら)わに横たわる裸婦をバンバン描くパワーは、それこそワケガワカラナイのである。

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