参院選と同じ29日に投開票が行われる衆院岩手1区補選(定数1)は17日の告示まで1週間と迫った。立候補を表明しているのは自民党公認で公明党が推薦する元団体職員の玉沢正徳氏(36)、民主党公認で国民新党が推薦する弁護士の階猛氏(40)、共産党公認で党県委員会書記長の瀬川貞清氏(57)、無所属で盛岡市の経営コンサルタント勝政(本名・馬場)康臣氏(53)。小選挙区比例代表並立制が導入された96年以降、初めての新人同士の争いが確実になっている。政権与党の威信をかけ、県都での議席奪回を目指す自民に対し、民主は衆議院議員から知事に転出した達増拓也氏の後継候補の必勝に全力を注ぐ。共産は、党県委員会書記長の擁立に踏み切り、2大政党では飽き足らない有権者の選択に期待をかける。衆院補選が行われるのは岩手1区と、衆院熊本3区だけ。選挙期間中は各党が党幹部を県内入りさせ盛り上げを図る構えで、戦いはさらに熱を帯びそうだ。
■自民、玉沢氏
玉沢氏の選挙事務所会議室で6日、気に入った写真やイラストを組み合わせて思い出のアルバムを作るスクラップブッキングの講習会と玉沢氏のミニトークを組み合わせた集会が開かれた。参加者は子供連れの主婦が中心。陣営は「敷居を低くして1人でも多く正徳に会ってもらいたい。これまでとはまったく違った選挙をしたい」と意気込む。
玉沢氏は党の第1選挙区支部長公募で当選、昨年12月に立候補を表明した。玉沢徳一郎衆議院議員の長男。世襲批判にもさらされるが、選対は中学、高校の同級生、若手県議や市議を中心に据え「玉沢正徳」自身を売り込むことに集中する。
公明党県本部(小野寺好代表)は5日、自民公認の参院選候補予定者千田勝一郎氏と玉沢氏の推薦を発表した。紫波、矢巾では個人後援会も発足し勢いづく。
選挙期間中は複数の大物代議士が県内入りするほか、若年層を対象にした集会も予定。政治への関心が薄い無党派層への積極的な働きかけと旧来の自民支持層の結束を両輪にして戦う。
衆院が中選挙区から小選挙区に移行して以来、1区では全4回とも達増氏が当選。自民党候補は辛酸をなめてきた。自民党は中選挙区時代から代議士、県議などの後援会を中心にした運動が選挙戦の核。党の支持で一枚岩になって動く民主党に、組織力の点では遅れをとる。
陣営幹部は「同じことをしていても勝てない。とにかく人と会うこと。年金問題など後手に回った政府の対応などは素直に謝り、自民党の中でも新しい波を作っていける人材ということをアピールしていく」と反転攻勢を誓う。
■民主、階氏
「1人でも多くの人と会う」。この決意は階氏も固い。簗川ダム建設予定地のさらに上流、全世帯数53という砂子沢地区で3日、開かれたミニ集会。「大学は野球部で神宮球場のマウンドに」「銀行に勤めながら弁護士の資格を取りました」。約20分の話のほとんどを自己紹介に充てたあと「達増さんの後継として、誇りに思ってもらえるような政治家になります」と力を込めた。「全域余すところなく歩く。会えば、必ず良さが分かってもらえる候補」と陣営。投票日まで400カ所のミニ集会、街頭演説をこなす。
階氏は5月に出馬表明。出遅れを取り戻すべく、参院選に出馬する平野達男氏らと連動し浸透に全力を挙げてきた。「階を『しな』とも読んでもらえない無名の新人。何とか皆さんの力を借りたい」。先月28日に開かれた民主党総決起大会では集まった約800人を前に声を張り上げた。
後援会は達増氏の組織を継承する形で1区内26地区に設立。連合岩手、国民新党などの推薦も得て支持拡大を目指す。
知事選で達増氏は岩手1区内だけで約11万票を獲得し圧勝。ただ、達増氏を支持した有権者が、無名の後継候補に投票してくれるとは限らない。関係者は「知事選に比べれば、まだまだ。やらなければならないことはたくさんある」と気持ちを引き締める。
■共産、瀬川氏
「県民の生活はぎりぎり。現状の打開を求める声が強い。党員としての30数年の生き様をぶつけるような戦いをしたい」。瀬川氏は先月14日、出馬を表明した。
自民と民主の戦いに注目が集まるが、菅原則勝県委員長は「民主党も国の根本にかかわる問題では自公政権と大きな違いはない。衆院岩手1区補選こそが確かな野党の存在感を示す絶好のチャンス」と意気込み、県委員会書記長を擁立した意義を強調。2大保守政党に批判的な有権者への浸透に力を入れる。
盛岡市の共済ビルで6日開かれた事務所開きには斉藤信県議をはじめ盛岡、紫波地区選出の市議団、町議団ら約70人が参加。年金問題や定率減税廃止による増税など貧困と格差の解消、憲法9条の改憲問題を最大の争点に戦う決意を固めた。
統一地方選では玉山との合併後、初の改選となった盛岡市議会で史上初の5議席を確保するなど「躍進の可能性をつかんだ」とする同党。佐久間正行盛岡地区委員長は「衆参とも現有9議席。1つ議席が増えるだけで党首討論に参加できるようになり、主張を正面からぶつけられる機会が増える」と今選挙戦の重みを説く。24日には市田忠義党書記局長が来県。参院比例区では県内8万票の目標を掲げ、衆院補選と連動した盛り上げを目指す構えだ。 |