■ 地デジへ地方局も対応 テレビ岩手の矢後社長に聞く
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地上デジタル放送やワンセグの普及で、家庭や個人と映像の関わり方が大きく変容している。インターネットの浸透でテレビの視聴時間や広告収入にも変化の波が押し寄せている。地方のテレビ局はこれらの新しい潮流にどう立ち向かおうとしているのか。昨年就任したテレビ岩手社長の矢後勝洋氏(64)に地方テレビ業界の課題について聞いた。矢後社長は先端メディアの可能性を追求しつつ、地域密着の放送を重視する経営方針を示した。
−地上デジタル放送が始まり4年後には完全な切り替えになる。テレビ局サイドでは課題はクリアしているのか。
矢後 まだ設備投資の途上。2005年くらいから本格的にデジタル化の設備投資が始まって3年目。デジタル放送設備の中核部分はできた。うちは制作部門を作り、デジタルで放送し、番組をつくる。スタジオはHD(高精細度テレビ)化されているので、うちで作っている番組はデジタル放送とアナログで両方出している。さらに中継できるよう衛星を使ったSNG車を導入し、カメラ、編集機、デジタル用電送装置を整えた。これまでのわが社の特色は制作のデジタル化に先行して着手したこと。
07年からは中継局を作ってアナログ放送と同様あまねく視聴者に電波を享受してもらう体制をつくる。中継局はこれからで、手始めに一関と二戸を開設して20日から、その地域でもデジタル放送が見られるようになる。
中継局は民放とNHKが共同で立てて7月現在54・1%、今年4局できる。07年から中継局に着手して8、9、10年と取り組む。2010年度で初めてアナログ放送と同程度の世帯がデジタル放送を見られるのではないか。それでもわずかな世帯数、山間部で難視聴地域が残る。テレビ局と当該自治体が力を合わせてどう解消していくかが課題になる。
地元密着番組、地元重視ソフトを強化していくのが基本路線で、そういう意味から自社制作も早くデジタルで視聴者の皆さんに見ていただく狙いから(制作に)早く導入した。
−若い世代を中心にワンセグが普及しているが、屋内では極端に受信感度が低下するなどの問題があるようだ。地方局としてワンセグの可能性をどう考えているか。
矢後 非常に難しい問題で、ワンセグの独自編成で番組を流すには新たな設備投資が必要。そのための情報入力や加工などのシステムもいる。そこまでの需要があり、われわれ民放が経営的にバランスが取れるものかどうか、正直言ってまだ確信が持てない。キー局の場合は体制を組んで大きな設備を入れてやるつもりだが、いろんなテレビの本放送とは違ったものができてくると思う。
そこにビジネスチャンスも生まれてくる期待を込めてキー局がやっているが、残念ながら地方局の場合はそこまで確信が持てない。災害情報や道路交通情報をこれから考えねばならないと個人的には思う。ワンセグを持っている人が一番何を見ているか、スポーツなどをよく見ているらしいが、身近なニュースや地震、大雨、道路状況など文字放送的なものでかまわないと思う。データ放送と非常に連動する。
−企業の広告宣伝でネット媒体の比重が増している。地方局の現状は。ネット戦略は。
矢後 広告市場については地元と東京大阪の全国市場に影響が出てきていると思う。テレビがダントツの媒体力でメディアの中で大きな役割を占め、今でもそれは変わらないが、シェアがやはり若干はネットやその他の広告、DMや新聞のチラシなどに侵食されてきているのは疑いのない事実。テレビ広告費の増加が望めず横ばいかマイナスになっている一因ではないか。
−地方局の役割と今後のテレビ岩手が目指そうと思う方向性は。
矢後 地元岩手県の視聴者に喜んで見てもらっているようなこと、日々の暮らしに役立ててもらえるような情報を発信していくのがローカルの存在意義だ。地元の皆さんと喜怒哀楽を共にしていくのがテレビ局ではないか。自主制作の率は11%くらいで普通のローカル局、ほかの3局より高い。自主制作番組に力を入れたい。団塊の世代の皆さんでも見て楽しめるような番組にしたい。
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矢後勝洋氏(やご・かつひろ)早大卒。65年読売新聞社入社。87年社会部次長、94年電波報道部長、97年文化部長、2000年執行役員事業局長、01年北海道支社長、04年退職、テレビ金沢副社長、06年テレビ岩手社長。64歳、北海道出身。
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