白鳥の
つばさは張られ
かゞやける琥珀のそらに
ひたのぼり行く。
〔現代語訳〕白鳥の翼は張られてて、輝く琥珀=こはく=(色)の空に一心に昇って行くのです。
〔評釈〕「大正七年五月より」〔「歌稿〔B〕」〕五十首中の三十九首目の「698歌」で、「アンデルセン白鳥の歌」の十首目の最終歌。嘉内宛書簡(書簡95)でも、六首中の、やはり最後に置かれていて異同はない。賢治が本連作の着地点として何を考えたかの揺れがないことを示していようし、結句からは、あの「ヨダカ」が連想できる。続いて〔大正七年十二月〕の書き入れがある。「歌稿〔A〕」では、「大正九年十二月」と書かれた後、、それを「八年」と書き直している。『新校本』の解説者は、「賢治の記憶が定かでなくなったこと、大正九年・八年ではないとは考えたものの、七年とも決定しきれなくなったこと、を示すものであろう。」『第十五巻、書簡(校異編)』(p五九)としている。
(岩手大学特任教授)
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