2007年 8月 7日 (火) 

       

■  〈賢治の歌〉835 望月善次 投げ入れしソーダは青ざめし

 〔なげいれし曹達はあをざめし泡を
  はき朧に青き液を往来す〕
 
  〔現代語訳〕投げ入れたソーダは、青めいた泡を吐いて、ぼんやりと青い液の中を行ったり来たりしているのです。

  〔評釈〕「大正七年五月」〔「歌稿〔A〕」〕六十五首中の五十六首目の「701歌」。第二句から三句にかけては、「泡をはきながら」の形もあった。「曹達(ソーダ)」は、「soda」(英語・オランダ語)の漢字化したもの。ナトリウム塩の俗称。普通には炭酸ナトリウム〔『広辞苑』〕。本来は、無色のはずだから、投げ入れた液体がどうしたものかの説明が必要なのだが、それは化学音痴の評者の手に余るところ。ただ、短歌としては、投げ入れた「ソーダ」が、その液体の中で、まるで青い泡を吐くような反応を起こしながら、その液体の中を行ったり来たりしていることが歌われていることを把握すれば、十分なような気もする。短歌定型を守る点から、結句の「往来す」は、「ゆききす」と訓(よ)んだ。

  (岩手大学特任教授)

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