現代アメリカ美術を代表する画家のひとり、ベン・シャーン(1898〜1969)による連作
Lucky Dragon Series 。1954年、太平洋ビキニ環礁でのアメリカによる核実験で放射能の「死の灰」を浴びたマグロ漁船・第五福竜丸の事件をテーマに描かれたものです。昨年のこと、現在では所蔵者もまちまちのこの絵画群がまとめ直され、1冊の絵本として結実し、話題となりました。それが、本書です。日本語での創作を続ける詩人・アーサー・ビナード(1967〜)によって1枚1枚の画に添えられたキャプションが、ひとつの流れとなって、平和、とは明らかに逆行する政治や科学の横暴、暴走を告発します。
悲惨な戦争の終結から9年、ようやく生きるための営みに希望を見いだしかけた庶民の身に降りかかった災厄。不運の一言では片づけられない無念さが、シンプルで一見静かな画像から、百万の叫びとなって立ち上がってきます。
どうして わすれられようか。/畑は おぼえている。/波も うちよせて おぼえている。/ひとびとも わすれやしない。
【今週の絵本】『ここが家だ ベン・シャーンの第五福竜丸』ベン・シャーン/絵、アーサー・ビナード/構成・文、集英社/刊、1680円(税込)7歳〜(2006年) |