その昔、子供心に怖かったものに「おしいれ」を挙げる方、多いのでは? ところが最近では、おしいれ、をこどもに説明するのも一苦労。クローゼットだのロフトなんというカタカナ収納しか知らないヘイセイの子には、あの暗く、狭く、かび臭く、悪事露見の暁には代用監獄と化す空間がどの家にもあったなどと、ピンとこないのも無理からぬこと。
とある保育園、お仕置きとしておしいれに閉じこめられた二人の男の子。壁の木目やシミがなんだか怖ろしげに見えてきますが、あにはからんや、これが異世界への入り口に。
ミニカーとおもちゃの機関車を携え、ついさっきまでケンカしていたことさえ忘れた二人は、手に手を取って闇の世界へと歩みを進めます。待ち受けるのは、ねずみばあさんと配下のねずみたち。夜の街に、地下道に、手に汗握るチェイスが展開されて…!
たとえ力はなくても、理不尽な権力に屈しない強い意志。これはものがたり冒頭の「お仕置き」にも通じていて、本作の隠しテーマにもなっています。絵本から童話への橋渡し的テキストとして読み継がれる、人気の定番作品です。
【今週の絵本】『おしいれのぼうけん』古田足日・田畑精一/作、童心社/刊、1260円(税込)5歳〜(1974年)
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