2007年 10月 2日 (火) 

       

■  初の小児生体肝移植 岩手医大附属病院で

 小児対象としては県内初の生体肝移植手術が7月に盛岡市の岩手医科大学附属病院で実施された。患者は県内に住む胆道閉鎖症の1歳10カ月の女児。肝臓提供者(ドナー)は20歳代の母親で、患者、ドナーとも術後の経過は良好という。最近5年間で生体肝移植を受けた県内の小児患者は4人いるが、いずれも移植手術は県外施設で行われている。術後の経過観察を考慮しても県内施設で手術が受けられるようになったメリットは大きい。成人を含めた生体肝移植としては県内で2例目。

 患者が無事、退院したのを受け1日、同病院外科の若林剛教授、高原武志助教、小児科の千田勝一教授、佐々木美香講師が記者会見し経過を報告した。

  移植手術は医療チーム20人体制で7月30日に実施。胆道閉鎖症から肝硬変を発症した患者の肝臓をすべて摘出した後、母親の肝臓の18%を移植した。患者とドナーの血液型が異なる血液型不適合症例だったが、血液の抗体を抑制する薬剤治療が奏効し、拒絶反応は起こらなかった。

  術後、3週間目に患者の肝機能が悪化し、8月25日に肝静脈を拡張する再手術も行われたが、その後の経過は良好で9月30日に退院。母親も術後8日目で退院した。

  母親からの部分肝の取り出しには、わずかな傷口から内視鏡などの器具を挿入し患部の切除や止血を行う腹腔鏡による手術も導入。傷口を従来の開腹手術の半分以下(8センチ)に抑えた。腹腔鏡を併用した、この手術方法は同病院のオリジナルプログラムで全国的にも珍しいという。

  国内での生体肝移植数は現在、成人を含め年間500〜600件に上り、小児の肝移植後の生存率は8割弱。

  若林教授は「小児を対象にした生体肝移植としても順調なスタートを切れた。今後も積極的に取り組みたい」としている。千田教授は「県内の医療施設で移植手術が可能になったことは、同じような病気を持つ子供やその家族にとって大きな意味がある」と話していた。

  【胆道閉鎖症】

  胆汁が流れる肝外胆道が閉鎖するために閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)を起こし、適切な治療をしなければ1歳ごろまでに肝不全で死亡する難病。出生児1万人に対して1人の割合で発症している。肝門部の手術で7割の子供がいったんは黄疸が治まるが、術後の胆管炎をきっかけに再び黄疸が上昇したり、将来的に肝硬変などの重大な合併症を生じたりする可能性がある。このため、最終治療として肝移植の適応が認められるケースがある。

  胆道閉鎖症による生体間移植手術は医療保険が適用される。自治体の高額医療費助成の対象にもなるため、患者の負担は大幅に軽減される。

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