もはや古典と呼ばれる域にある、定番です。と言っても、感動の名作、という訳ではありません。…確かに主人公のネッド少年は自ら操縦する飛行機が爆発したり、穴の開いたパラシュートで降下するハメになったり、着水した水たまりでサメの大群に追いかけられたりと、大冒険をするんです。でも、…どうです? 確かに大変な目に遭ってはいるんですが、どこかマユツバでしょう? そう、この絵本は手に汗握って読む、というよりは、次々とシリトリ形式で切り替わる奇想天外荒唐無稽(むけい)なハプニングを、(いつかはゴールが来るという安心感と共に)ジェットコースターに乗るように楽しむ作品なんです。ネッド君、災難また災難の道中で、そのつど、機転を利かす…でもなく、強靱(きょうじん)な意志で…でもなく、ひたすら他力本願、運だけで切り抜けてしまう。この飄々(ひょうひょう)さかげんが、まさに「よかったね」のタイトル通り。これが単なるほら吹き物語になってしまいもせず、逆に40年の長きにわたって親しまれているのは、小手先のウケ狙いのようなあざとさとは無縁の、むしろ堂々とパターンを踏む骨太さのなせる技なのではないか、と思わされるのです。
【今週の絵本】『よかったね ネッドくん』R・チャーリップ/作、八木田宜子/訳、偕成社/刊、1470円(税込み)4歳〜(1964年)
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