比叡
根本中堂
ねがはくは 妙法如来正〓知 大師
のみ旨成らしめたまへ。
〔現代語訳〕どうか正〓知よ。仏(伝教大師)の大切なお教えを成就してください。
〔評釈〕「大正十四年四月」〔「歌稿〔B〕〕五十二首の十三首目の「775歌」で「比叡」と題された十二首の冒頭歌でもあり、「根本中堂」と題されたもの。「正偏知」は、samyak−sa
mbuddhaの漢訳で仏の十号の一つ。正しい悟りを開いた仏・如来のこと〔『新宮澤賢治語彙辞典』〕。「四又の百合」や「ビヂタリアン大祭」で親しい方も少なくないであろう。「大師」は、「偉大な師匠」の意味で、「仏や高徳の僧に対する尊称。」だが、比叡山であるから、仏の精神を体した「伝教大師」があろう。一首は、現在は、比叡山延暦寺根本中堂の傍らに、中学一年生の可児肇の手によって書かれ、「賢治歌碑」として残されてもいる。(建立日は昭和三十二年、賢治昇天に合わせた九月二十一日であった。)
(岩手大学特任教授) |