2007年 11月 16日 (金) 

       

■  〈賢治の歌〉932 望月善次 いかめしく十七珠

 いかめしく十七珠を織りなすはとは
  のほとけのみむねやうけし。
 
  〔現代語訳〕威儀正しく、十七の珠玉(すなわち「十七条憲法」)を織ったのは、仏の永遠の趣旨を受けてのものでしょうか。

  〔評釈〕「大正十年四月」〔「歌稿〔B〕」〕五十二首の二十六首目の「788歌」で、「法隆寺」と題された四首の二首目。やはり、聖徳太子の「十七条憲法」について歌った作品。「十七珠を織りなす」は、その「十七条憲法」の制定を比喩(ゆ)的に表現したもの(「珠」の訓(よ)みと「たま」か。)。「織りなす」の「なす」は、意味を強めるためであるが、「織りなすは」を五音にする短歌定型からの要請もあろう。下句「とはのほとけのみむねやうけし」となると、評者など率直に言って、「ああ、とてもついて行けません。」などと言いたくなるのだが、法華経に傾倒し、国柱会を訪ね、田中智学の教えに全面的に従おうとしていたこの時期に賢治にとっては、案外、素直で正直な感慨でもあったのだろうか。

(岩手大学特任教授)

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