2007年 11月 17日 (土) 

       

■ 〈賢治の歌〉933 望月善次 大御言なくて二十重の

 おほみことなくてはたへの瓔珞もう
  けまさざりし、〔さ仰ぎまつる。〕
 
  〔現代語訳〕天皇のお言葉もなく、たくさんの瓔珞(ようらく)もお受けにならなかった太子の御生涯を尊いものとして仰ぐのです。

  〔評釈〕「大正十年四月」〔「歌稿〔B〕〕五十二首の二十七首目の「789歌」で、「法隆寺」と題された四首の三首目。第三句は、当初「瓔珞も」の形も。結句の「さ仰ぎまつる。」は、抹消されたのだが、その後が記されていない。これも聖徳太子について歌った作品。実は、この次の置かれる作品が、法隆寺を去ってから作品となるから、一連は、「法隆寺=聖徳太子」となる。「おほみこと」は「大御言」で、天皇の言葉。「はたえ」は「二十重」で、ここでは「沢山」の意味とした。「瓔珞(ようらく)」は、インドの身分の高い人たちが宝玉等に糸を通して作った飾り。一首の内容は、聖徳太子の天皇未就任などにかかわるのだろうが、その解明は、歴史的難問の一つであることのみを記しておこう。
(岩手大学特任教授)

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