2007年 12月 3日 (月) 

       

■  人工関節手術へ骨の位置までCGで 県立大ベンチャーが医療ソフト発売

     
  研究成果をもとにアイプランツ・システムズを起業した県立大情報ソフトウェア学部の土井章男教授(左)と伊藤史人研究員  
 
研究成果をもとにアイプランツ・システムズを起業した県立大情報ソフトウェア学部の土井章男教授(左)と伊藤史人研究員
 
  県立大ソフトウェア情報学部の土井章男教授、プロジェクト研究員の伊藤史人さん(31)らの研究グループは2次元、3次元によるシミュレーションで、高精度な人工膝関節全置換手術(TKE)を可能にする「人工関節術前計画システム」を開発した。システムの制作や販売を行うために7月に設立したベンチャー企業・株式会社アイプランツ・システムズ(社長・土井教授、本社滝沢村、資本金600万円)から、このソフトを販売する。高齢化の進展で、膝や股関節の手術を必要とする患者は増加。治療に当たる医師の強力なサポートシステムとして期待されている。

 TKEは膝関節を構成する大腿骨(だいたいこつ)と下腿骨(かたいこつ)の両方と膝蓋骨(ひざがいこつ)の関節面を人工の医療部品(インプラント)に置き換える手術。加齢によって膝の軟骨がすり減る変形性膝関節症などの外科的な治療として広く行われている。

  インプラントの配置や骨切り線を決める術前計画は、一般的に、レントゲン写真を用いて定規と鉛筆による手作業で行う。このため、医師の技量によって大きな差が生じていた。

     
  「人工関節術前計画システム」によって表示された膝の骨と人工関節の3D画像  
 
「人工関節術前計画システム」によって表示された膝の骨と人工関節の3D画像
 
  開発された人工関節術前計画システムは、骨のCT画像など医療画像データをもとに、2次元画像のほか、3次元画像で骨を立体的に表示することができる。インプラントのデータと組み合わせて最適な配置場所や骨切り線を抽出。骨内部の断面表示で、骨の内側でのインプラントの設置状態も確認できる。

  システムは、ほかの人工関節手術や骨折治療にも応用可能。将来的には、手術ロボットを用いた新しい手術方法の開発にもつながる可能性があるという。

  研究には千葉大学医学部の鈴木昌彦整形外科医師らが協力。05年から科学技術振興機構(JST)の助成を受け、ソフトの開発を進めてきた。

  ソフトは08年度前半に販売を開始する予定。伊藤さんは「これまでの術前計画は医師の技量に頼るところが大きかった。このシステムを活用すれば、経験が少ない医師でも一定のレベル以上の計画を立てることができ、医療の質の底辺を上げることにつながると思う。データの集積も可能なので資料として教育や研究にも役立てられる」と話す。

  同社は人工関節術前計画システムに先立って10月から、スライス画像を立体的に表示し、専用プリンターで実物大のモデルを作成できるソフトを販売している。今後、医療用支援システムの完成度を高めながら、マーケティング活動にも力を入れる。

  土井教授は「多くの研究成果があっても論文の発表だけではインパクトが薄い。研究成果がシステムや製品として利用され、社会に還元されてこそ、メリットが明らかになる。臨床の場面で活用しやすい医療支援システムを目指していきたい」と意欲を燃やしていた。

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