2007年 12月 5日 (水) 

       

■  〈賢治の歌〉951 望月善次 輝きの雨にしばらく

 かゞやきのあめにしばらくちるさくら
  いづちのくにのけしきとや見ん。
 
  〔現代語訳〕輝いている雨に、しばらくは散っている桜よ。(まるで夢のような情景で)一体どこの国の景色であろうかと、見たらよいのでしょうか。

  〔評釈〕「大正十年四月」〔「歌稿〔B〕〕五十二首中の四十五首目の「807歌」で、「東京」七首の三首目。「かがやきのあめ」は、一般的には「輝いている雨」等となるところで、軽く捻った表現となっている。「いづちのくにのけしきとや見ん」をどうした話者の感情表現とするのかは、一概には断定し難いところもあるが、一応雨の桜を讃美して夢のようだと考えている話者を想定した。「ぼくは桜の花はあまり好きではない。」〔「或る農学生の日誌」〕を挙げ「賢治は古来桜を歌い賞でる風習を含めて桜の花を嫌っていたように思われる。」とする『新宮澤賢治語彙辞典』との整合性を気にする各位もあろう。

  (盛岡大学学長)

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