2007年 12月 9日 (日) 

       

■  〈胡堂の父からの手紙〉141 八重嶋勲 質入れなどしたなら学業停止

 ■199巻紙 明治39年6月6日付

宛 東京市本郷区第一高等学校東寮四番
                  室
発 岩手縣紫波郡彦部村大巻
前略拾円丈金束致候ニ付送付致候不足ノ拾円ハ近々送付可致候電報ニテ弐十五円請求相成タルハ如何ノ需用生スタルヤ頼願的節険申込ムニ却テ増額請求スルハ甚タ以テ不審千万ニ候如何ナル理由アル有リテモ弐拾円余ハ應シ難シ外ハ帰郷費用計算シテ可差送候物品質入等ノ慮ル点アリ左様ノコトアルニ於テ断然学業停止セシムヘク候来ル六月十二日赤十字総会ニ野村長四郎名義ヲ以テ入場スルコト出来得ル次第ナレハ記章及入場券送付候夏期帰郷ノ際ハ豫メ買求セシ外套古紋付夜具除ク外悉皆高價ナル書籍モ澤山アル筈前年来迄用ヘタルモノ不残持帰ルベシ赤十字記章ハ近々送付スヘキニ付出席スルヤ否ヤ至急ノ返報スベシ右用事迄早々

   六月六日      野村長四郎

    野村長一殿
 
     
  明治時代のお札  
  明治時代のお札  
 
明治時代のお札
 
  【解説】「前略、10円だけ金策したので送付する。不足の10円は近々送ることとする。電報で25円請求してきたのは、どのような必要が生じたのか。節約を頼んでいるのにかえって増額の請求とは甚だもって不審千万である。いかがなる理由があったとしても20円余は応じがたい。他は帰郷費用計算して知らせよ。物品の質入れなどをする恐れがあるが、そのようなことをするのであれば、断然学業を停止させることにする。来たる6月12日、赤十字総会に野村長四郎の代理で入場することができるのであれば記章及び入場券を送る。夏期帰郷の際は前に買った外とう、古紋付き、高価な書籍もたくさんあるはずなので、前年来使ったものは残らず、夜具を除くものをことごとく持ち帰るべし。赤十字記章は近々送付するので出席するか、しないか、至急返報すべし。右用事まで、早々」という内容。

  この手紙もまた学費の送金にかかわっての内容である。持ち物の質入れをかたく禁じており、そのような事をしたならば断然学業を停止させると強く言いわたしている。

(県歌人クラブ副会長兼事務局長)

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