汝が弟子は酔はずさびしく芦原にま
しろきそらをながめたつかも
〔現代語訳〕(酔い痴れているお前とは対照的に)お前の弟子は、酔いもせず、芦原で、ああ、真っ白な空を眺めて立っているのです。
〔評釈〕「大正十年四月」〔「歌稿〔B〕〕五十二首中の四十九首目の「811歌」で、「東京」七首の最終歌。文語未定詩稿「隅田川」の後半の書き入れと言われていて、『新校本』は「甲斐より来たる汝が弟子は、/酔はずさびしくそらを見る/その芦原の芦に立ち、ましろきそらをひとり見る」と整理している。〔ちなみに、「隅田川」全二連の、第二連は「母をはるけき 汝が弟子は/酔はずさびしく そらを見る/その蘆生えの 蘆に立ち/ましろきそらをひとり見る 」となっている。〕。昨日の「810歌」では、「汝」の登場が唐突だとしたが、それは話者と「汝」との関係が分かり難いということでもある。抽出歌においても、そのことは同じだが、話者が「汝が弟子」に好意的なのは明らか。
(盛岡大学学長) |