2007年 12月 15日 (土) 

       

■ 〈賢治の歌〉960 望月善次 ぎんがぎのすすぎの中さ

 「ぎんがぎがの
  すすぎの中(なが)さ立ぢあがる
  はんの木(ぎ)のすねの
  長(な)んがい、かげぼうし。」
 
  〔現代語訳〕「(お日様を背景に)ぎんがぎがと(火のように輝く)ススキの中に立ち上がるハンノキ(榛の木)の脛(すね)の長い影法師よ。」

  〔評釈〕「鹿踊りのはじまり」〔『注文の多い料理店』〕の中に収められた短歌体のもの六首のうちの四首目の作品。太陽を背景に、火のように輝くススキの中に立ち上がるハンノキの様子を美しく描いた作品。「はんの木のすね」と賢治表現の基盤でもある「結合比喩(ゆ)」も用いられている。初句「ぎんがぎがの(六音)」、第四句「はんの木のすねの(八音)」、「長んがい、かげぼうし」(九音)と字余りが多いが、「短歌」としての認定に違和感がないのは二つの理由による。一つは、全体が「ぎんがぎがの/すすぎの中さ/立ぢあがる/はんの木のすねの/長んがい、かげぼうし」と五区分ができること。二つは、初句、第四句の字余りが一音ずつで、五音・七音から大きくは、逸脱していないからである。
(盛岡大学学長)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします