2008年 1月 4日 (金) 

       

■  〈世界に飛躍する地場企業〉2 岩鋳販売 カラー鉄瓶が欧州の市場を開く

     
  佐藤康大岩鋳営業部次長  
 
佐藤康大岩鋳営業部次長
 
  盛岡市南仙北2丁目の岩鋳販売(岩清水晃社長)では現在、欧州、北米などを中心に急須、鉄瓶、風鈴などを積極的に輸出。岩鋳ブランドを世界で展開している。04年からMOMA(ニューヨーク近代美術館)のカフェでも商品が導入され、ステータスも高まっている。現地の販売ニーズをたえず正確に把握し、デザインの変更やカラー化などの商品開発、販売戦略に取り組んできた成果と言えよう。

 岩鋳販売は60年代から欧州に陶器類を輸出する国内商社から鉄瓶や急須を受注している。本格的な海外での販売は73年の日本産業巡航見本市に参加してから。以来、欧州や北米、アジアなど世界各地に製品を輸出展開してきた。

  長年、海外戦略に携わってきた同社営業部の佐藤康大次長(38)は「当初は既存の商品だけを商社任せで輸出していた。その後見本市などで徐々には知られるようになったが、まだ国内で販売している黒の伝統的急須や鉄瓶を送るだけ」と言う。

  本格的に海外向けの商品を開発、販売したのは92年ころ。「当社の商品を購入してくれたパリの紅茶専門店からアドバイスを受けた。ヨーロッパの市場にもっと受け入れられるようにカラー化するようにと。早速、青、黄色など4色のウレタン系の塗料で吹きつけし商品をサンプルに送った。これが当たった」と佐藤次長は当時を思い出す。

  以後、カラー化のほか立方体や大胆な曲線などデザインも改良し、輸出に本腰を入れ始めた。商社だけに依存するのでなく、岩鋳のスタッフが直接現地に出向き、売れ筋や利用状況など市場調査を実施した。

  その調査を基に商品も改良し投入した。市場はフランスからドイツ、イタリア、スイス、ベルギーなどヨーロッパ各国に広まった。フランスをはじめ、ヨーロッパはお茶の文化圏。フランスは日本人の10倍ほどお茶を飲む。

  「紅茶のほかハーブティーなどさまざな茶があり、当社の改良した商品は茶文化の演出に一役買い、その市場にうまく乗った。ただ国によって求める色彩やデザインはまちまち。ギリシャにも浸透しているが明るい原色が求められる。各国の文化の違いを踏まえ、商品開発している。海外へ本格参入してから100アイテムほど開発している」という。

     
  MOMAのカフェで利用されている「急須曳舟」(ニューヨークのMOMAで撮影)  
 
MOMAのカフェで利用されている「急須曳舟」(ニューヨークのMOMAで撮影)
 
  北米に本格普及し始めたのは3年ほど前。アメリカで日本食がブームになり、健康志向が高まる中で現地A社直営の茶の専門店60カ所でも展開し始めた。その店舗のすべてに岩鋳ブランドの商品が納品されている。

  4カ月前にも渡米した佐藤次長は「アメリカの健康志向は年々高まっている。その専門店からはオリジナルの急須の注文も受けた。浸透は速い。早晩ヨーロッパ向け以上にアメリカ向けが増加しそう」という。今後も増加する市場と見ている。

  MOMAに同社商品が採用されたことも岩鋳ブランドを有名にした。MOMAは04年に建築家の谷口吉生さんが設計しリニューアルされた。同年、ニューヨークのギフトショーが開催され、出品したアラジンの魔法のランプのような「急須曳舟」が同美術館スタッフに注目され、採用された。同館のカフェテラスで使用されている。

  同社は今年度も前年比10%増の売り上げを確保する模様。うち海外貿易の売り上げは約3割を占める。佐藤次長は「過去10年で輸出量は7、8倍は増加した。今後も輸出は堅調だろう。当社の供給が追いつかないほど」という。

  同社では3社の国内商社と取引し、商品をそれぞれ最寄りの港までコンテナで運ぶ。船積みが完了した時点で代金を決済する。佐藤次長は「海外貿易には日本のような手形がない。決済は早い。貿易は自社、相手先、商社との信頼関係で成り立つ。決して難しい仕事ではない。盛岡、岩手には世界に輸出して十分に戦える商品がある。為替変動などのリスクはあっても相手先と信頼関係を築ければ、そう恐れくても。ぜひ海外にトライを」と話す。

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