2008年 1月 4日 (金) 

       

■  〈賢治の歌〉979 望月善次 石走る流れる水の

 (水超々)石はしる流れる水の姿によ
  そほひていよよに白きこの菊の花
 
  〔現代語訳〕石の上を激しく流れる水の姿に形を整えて、ますます白く思われます、この菊の花は。

  〔評釈〕「東北菊花品評会」五首中の四首目の「254歌」。同会短冊用の下書き原稿で、昭和六年ごろの作品か。「水超々」は、おそらく出品の菊作品につけられた名前。「石はしる」は、通常「石走る(イハバシル)」で、「近江」に懸かる枕詞であるが、「石の上を激しく流れる」などの意となる。「よそほひ」は「よそひ(装ひ)=服装などを整える」の派生語で、「身なり等を整える」の意〔『岩波古語辞典』〕。「菊作り」に疎い評者であるが、「水の姿によそほひて」は、所謂(いわゆる)「懸崖」を指していると思われる。そうだとすると「よそほひて」の原義の「形を整える」は、正にその通りの表現である。「よそほひてVSいよよに白き」は、論理的な関連はないのだが、そこを関連づけるのが文学の方法。

(盛岡大学学長)

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