(王容台)
かぐはしき玉の台にあそばんはいか
るなる蝶のすがたなるらん
〔現代語訳〕香りの良い、宝石で飾られた高殿に戯れているのは、なんという蝶(ちょう)の姿なのでしょうか。
〔評釈〕「東北菊花品評会」五首中の最後歌の「255歌」。同会短冊用の下書き原稿で、昭和六年ごろの作品か。「王容台」は菊の出品題名なのだが、『新校本』によれば、恐らく「瑶台」(玉で飾った美しい高殿。)」の誤用か。「かぐはし(香し・馨し)」は「香(カ)+細し(クハシ)」で、香りがよいこと〔『岩波古語辞典』〕。「瑶台」は、「宝石などで飾った美しい高殿」だから、「台(うてな)」は、「見晴らしがきくように高く作った建物。高殿」。抽出歌中の「かぐはしき玉の台」とも一致する。(もっとも、「台」には、「物を置くもの」の意味もあるから、その意味にとることも、もちろん可能だが、評者としては舞台を大きく「高殿」としたいところ)核心は、菊を蝶に見立てたところ。
(盛岡大学学長)
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