2008年 1月 6日 (日) 

       

■ 〈胡堂の父からの手紙〉145 八重嶋勲 かねての絵図面、至急返却すべし

 ■203半紙 明治39年9月30日付

宛 東京市本郷区第一高等学校寄宿舎朶
                寮三番
発 岩手縣紫波郡彦部村
前略無事通学之由大慶ニ存候、当方無事なり、安心被成度候、豫而之繪圖面其筋より再三四督促ヲ受ケ為メ黒澤尻ヨリ吏員出帳セラルヽヤモ難斗(計)、然る時ハ謄写ノ為メ東京ニ遺シ置キタリトハ迚モ答弁ニ不相成、責任ニ算スル事件ニ候、騰写未タ出来サルニ於テハ其侭ニテ不止得次第ナリ、此状着次第必ラス明後二日迄到達ニ相成様至急差立可相成候、至急迅速ヲ要ス、
次ニ当地ノ農況ハ昨年よりハ二分増位ナルヘキモ平年作トシテ三分減位ナルベシ、畑作ハ平年ナリ、米七斗ニテ拾壱円内外ニ騰貴セリ、馬匹ハ前年ノ三分一位ノ價格ナリ、金融最不通ナリ、
去日弐十円ノ請求ニ対シ拾五円差立タル筈定メテ不足ニ困難致居ルナラン、十月上旬ニ十月分ト如ヘ尚ホ拾五円モ送金可致ニ付当分間ニ合セ置レ度候、本年六月以前ニ比較月五円位ハ節減スル様被致度候、学校目下ノ状形詳細聞及度、右用事迄、早々
   九月三十日      野村長四郎
    長一殿
 
  【解説】「前略、無事通学とのこと大慶である。当方も無事であり、安心せよ。かねての絵図面その筋より再三、再四督促を受け、黒澤尻より吏員が出張してくるかもしれないので、しかる時は謄写のため、東京にやっているとは、とても答弁にならない、責任に数えられる事件である。騰写いまだ出来ないにおいては、そのままで止むを得ない次第である。この手紙が着き次第必らず明後2日まで到達するように至急差し立てるようにすべし。至急迅速を要す。

  次に当地の農況は昨年よりは2分増し位であるが、平年作からは3分減位であろう。畑作は平年である。米七斗で11円内外に騰貴した。馬匹は前年の3分の1位の価格である。金融は最不通である。

  昨日20円の請求に対し15円送金したが、きっと不足し困難しているであろう。10月上旬に10月分に如え、なお15円も送金するので当分間に合わせておいてほしい。本年6月以前に比較し月5円位は節減するようにせよ。学校の目下の状況を詳細に聞きたい。右用事まで、早々」という内容。

  この手紙の文面から推察するに、どうやら、絵図面を謄写してもらうため、長一に頼み東京に持っていってもらったようである。ただ、長一が、早急にやらないでいるものであるらしいことが分かる。

(県歌人クラブ副会長兼事務局長)

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