昨年は日本の打ち上げた月探査衛星「かぐや」からの鮮明な映像に誰もが驚嘆した年でした。8月の皆既月食は、盛岡は好天にも恵まれ、久々に赤銅色の美しく幻想的な光景を多くの人が堪能しました。昨年暮れから今年にかけての火星の中接近は、晴れた夜でも冬の季節風による大気の乱れのためになかなか火星面の模様の検出が困難な日が多かったのですが、希に訪れるピタリと大気が安定した晩などは、火星が大接近のとき特有の砂嵐におおいかくされることがない分、息を飲むほどの濃い模様が現れます。ところで、今月には火星への小惑星の衝突の可能性も予測されていて、これなどは楽しみよりも不安と緊張が先立ちます。30年後に私たちの地球に小天体の衝突の可能性が高まっているからです。もし衝突すれば数十メートルの津波が押し寄せるとされます。
話は変わって、ホームズ彗星の異様な姿も印象深いものでした。ペルセウス座を今も少しずつ移動中ですが、シッポのある彗星のイメージとはほど遠く、雲の切れ端のようなこの彗星はタコのようでもあり、写真ではオバQにも似た愛嬌のある天体です。2等星位まで明るくなりましたが次第に淡くなってきています。空の暗い所では双眼鏡でもうしばらく確認出来るでしょう。
さて、2008年、平成20年の天界には一体どんな現象が待ち受けているでしょう。昨年12月に最接近した火星はふたご座を移動しながら急速に遠ざかっていきます。望遠鏡で楽しめるのは2月半ばあたりまででしょうか。一方、天界一の人気者と言っていい土星はどうでしょうか。土星はしし座の中にあって主星レグルスに近付いていきます。7月には火星、月、レグルス、土星が並んで美しい光景を見せる日が訪れます。さらに8月には金星や水星と並んで夕方の西空に彩りを添えます。来年は15年に一度の、輪が一時期消失したりあるいは串だんご状態となる年です。細くなったとはいえ、輪のある姿を今シーズンのうちにぜひ目にしておきたいものです。夏から秋にかけてはいて座にある木星の観望のシーズンが訪れます。いて座にあるということは高度が低いところに位置することになり、視界の開けた場所でなくてはなりませんし、汚れた大気の影響が気になります。せめて夏場の穏やかな気流を期待したいものです。
来年はガリレオが望遠鏡を初めて星空に向けて四百年目に当る年であり、世界天文年が制定されるでしょう。賢治ゆかりの地というばかりでなく、元々が盛岡の市民、子どもたちは、狭い地域社会のしがらみに固執せずに広い宇宙に心を馳せる精神の持ち主が多いはずです。これを機に、一層星の世界に関心を深めてもらえればと願っています。
(盛岡天文同好会会員) |