2008年 1月 8日 (火) 

       

■  〈賢治の歌〉983 望月善次 釜石の夜の空高みしき烈の

 釜石の夜の空高み熾烈の鉱炉にふる
  ふ鉄液のうた。
 
  〔現代語訳〕釜石の夜の空が高いので、激しく燃える鉱炉に鉄液の歌が盛んです。

  〔評釈〕今週も、「歌稿〔A〕・〔B〕」以外の作品についての評釈を続けたい。賢治短歌は、従来「歌稿〔A〕・〔B〕」を中心に論じられているわけであるが、その「歌稿」も「編年体賢治短歌集(仮称)」との関係で考察されねばなるまい。抽出歌は、大正六年七月二十九日付の保坂嘉内宛書簡〔書簡35〕の短歌六首の冒頭歌。(嘉内宛)書簡歌は、多く初出に近いものだと判断できるから賢治短歌の考察に重要な意味をもつ。花巻実業人有志による「東海岸視察団」に同行し、故郷の山梨県にいる嘉内宛に小国峠麓から出した書簡。短歌六首のみが記されていて、二人の短歌を挟む友情をも示す。短歌定型からすると「熾烈」の訓みは「しきれつ」か。「ふるふVSうた」の結合比喩駆使力等も注目点。

(盛岡大学学長)

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします