なんぢをばかなしまず行けたとへそ
らOPALの板となりはつるとも。
〔現代語訳〕保坂嘉内よ、どうか悲しまずに進んで行ってください。たとえ、空が(不幸を呼ぶ石ともいわれる)オパールの板となってしまうようなことがあっても。
〔評釈〕保坂嘉内宛書簡〔大正七年四月二十日、書簡56〕に書かれた短歌二首のうちの二首目のもの。卒業して研究生として「土質調査」などに従事する賢治と盛岡高等農林学校から除籍された嘉内。「OPAL」は「オパール(蛋白石)」のことで、十月の誕生石としても知られる。賢治は他に「オーパル」、「オパリン」等の呼称も使用。蛋白石は、その色の美しさと共に、一方では「不幸の石」としても知られるが、不幸とのかかわりは、割れやすい性質と共に、英国の詩人・小説家のスコット(一七七一〜一八三二)の小説「ガイアスタンインのアン」(一八二九)の影響による。「けれども私はあまり御気の毒にも思へません。」〔書簡49〕としながらも、激励せずにはいられない賢治がいるのである。
(盛岡大学学長)
|