■ 県内高校で特別支援教育が課題に 発達障害など現場で悩み
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高校での特別支援教育の充実が課題になっている。通常学級にもLD(学習障害)やADHD(注意欠陥多動性障害)といった発達障害などで教育的配慮が必要な生徒がいるが、小中学校に比べ、高校での対応は遅れている。本県の実態に沿った支援システムの検討が急がれる。
「保健室に来た生徒の中に、きょうが何月何日か分からず、いきなり日付の計算を始めた生徒がいた。わたし自身も周りの生徒も驚いた」。盛岡市の青山養護学校(高橋勉校長)で10日、開かれた研修会で、高校の養護教諭の一人が発達障害とみられる生徒の様子を説明した。
研修会は高校での特別支援教育の充実を図ろうと同校が企画。盛岡地域の高校や特別支援学校の特別支援教育コーディネーター、養護教諭ら約50人が参加した。
県教委がすべての県立高校を対象に昨年10月に実施した調査によると、発達障害、視聴覚障害、肢体不自由など特別な教育的支援が必要な生徒は395人(全体の1・2%)。うち医師などの診断がある生徒が143人、学校が判断した生徒が252人だった。
しかし、県内の小中学校の通常学級に在籍する発達障害など支援が必要な児童生徒の割合は4・5%(1学年当たり約600人、昨年1月の県教委調査)。この数字をもとにすると、毎年500人を超える生徒が高校に進学している計算になる。学校の「気付き」が進めば、さらに対象生徒が増加する可能性が高い。
今年度、小中学校では特別支援教育コーディネーターの指名や特別支援教育校内委員会の設置がほぼ100%に達した。だが、高校はコーディネーターの指名が86・1%、校内委員会の設置が70・9%。発達障害の生徒の実態を把握している高校は43・0%にとどまる。毎年、体制整備は進展しているものの、実際に特別支援教育が機能している学校はわずかだ。
研修会で講演した県教委学校教育室特別支援教育担当の佐藤淳指導主事によると、発達障害の生徒の支援に先進的に取り組む学校の中には、対人関係を学ぶソーシャルトレーニングを導入したり、生徒の問題行動を記録し教員全員が情報を共有して支援する体制を整えたところもある。
国の発達障害支援モデル事業の研究指定校14校には東京学芸大附属高など進学校も含まれていて、生徒の学力や進路の傾向によらず、すべての学校が取り組まなければならない共通課題になっているという。
佐藤指導主事は「診断名にとらわれず、生徒や保護者、担任の『困り感』を基に支援の対象をとらえてほしい。まずは既存の体制の中で可能な取り組みを」と呼び掛けていた。
研修会では「個別指導の大切さは分かるが、特別扱いでは好奇の目でみられいじめの対象にもなりかねない。1人のために全体の流れを止めるわけにもいかず、どのように支援していくべきか課題が大きい」「義務教育でない高校で、そこまでする必要はないとの声が強い」など学校現場の本音も聞かれた。
マンパワーの不足を訴える声も相次ぎ「担当者だけでなく管理職や生徒指導、教務主任が集まるような会議で特別支援教育の大切さを訴えてほしい」「実際の支援とはどんなものか、特別支援学校などでの現場実習を取り入れるべき」といった要望もあった。
県教委は今年度、杜陵高(通信制)、紫波総合高、宮古水産高の3校を研究指定校とし、本県の高校での特別支援教育の研究を進めている。発達障害の生徒をサポートする特別支援員の高校への配置なども検討中だ。
研修会を企画した高橋校長は「実際に困っているのは子供自身。周囲の『気付き』が大きなポイントになる。管理職のリーダーシップも重要。小、中、高校と継続した支援ができるよう、特別支援学校としては研修の企画支援、専門機関と学校とのネットワークづくりに力を入れたい」と話していた。
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【特別支援教育】学校教育基本法の改正で昨年4月から本格導入された。視覚、聴覚の障害、知的障害、肢体不自由など、これまで障害種別に行われてきた特殊教育の垣根を取り払い、発達障害など知的な障害はなく通常学級で学ぶ児童生徒も対象に、一人ひとりのニーズにあった教育支援を行う。幼稚園から小中学校、高校まで一貫した支援体制の構築が求められている。 |
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