2008年 1月 17日 (木) 

       

■  〈北Gのライブトーク〉20 北島貞紀 ピーターソンの特異性

 ジャズピアニストの巨匠、オスカー・ピーターソンが逝った。昨年、この誌上「その7 忘れられない一音」で、ピーターソンのことを書いた。きょうは、追悼をこめて僕がずっと不思議に思っていることを記したい。

  何が不思議なのか。それは彼が最初から「完ぺき」な状態でジャズ界に登場し、その後もほかの影響を一切受けずに自分のスタイルを貫いたことだ。パーカーをはじめとするビーバップの時代と重なるわけで、その影響を受けない訳がないのだが、どうなっているんだろう?そもそもあの超人的なテクニックをどうやって習得したのだろうか。

  ピーターソンは、カナダ生まれである。5歳から父親にピアノとトランペットを習ったという。そして24歳のときにニューヨーク・カーネギーホールでのコンサートでアメリカ進出を果たす。その後、82歳の今日までジャズ界の第一線でトップの座にあり続けた。

  ほかのミュージシャンをみると、ごく短い活躍期間(2年〜10年以内)で早世するパターンとマイルス・ディビスのようにスタイルを変遷させるパターンがある。その中に人間としての葛藤や音楽性の向上やらがあるわけだが、ピーターソンの60年間にわたる活躍には、それが感じられない。

  それはとりもなおさず、デビュー時点で、音楽性、テクニック、表現力に加えて人間性が完ぺきだったことを物語っている。この人間性の安定感が、ジャズの世界では特異性を放っているのかもしれない。

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