2008年 2月 2日 (土) 

       

■ 〈賢治の歌〉1008 望月善次 樺燃ゆる赤き火なれば

 樺もゆるあかき火なればすゞらんは
  ふるひ、ひかり、なほ青々と冴ゆ、
 
  〔現代語訳〕樺の木が燃えている赤い火なものですから、スズランは震え、光り、一層青々と冴えております。

  〔評釈〕『アザリア』第二号(大正六年)「夜のそらにふとあらはれて」八首中の七首目。全八首の中、ただこの一首のみが、後の「歌稿」に収録されていない。脱落の一因は、第四句の「ふるひ、ひかり、なほ」の部分が字余りで、かつその「字余り感」が強かったためか。(「字余り感」の強さは、「二音一拍説」によれば、「ふる/ひ○/ひか/り○/なほ」と五拍となることからも説明できる。)「夜のそらにふとあらはれて」の素材は、「馬鹿旅行」であり、抽出歌などの位置は、まどろんで幻想している部分に相当。「樺」については、単に「樺」とある際は「山桜」のことが多い(栗原敦)が、そうでもないこともあると言うが〔『新宮澤賢治語彙辞典』〕、ここではそうした数少ないものの例か。
(盛岡大学学長)

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