岩手銀行(高橋真裕頭取)は、商品在庫や売掛金などを担保とした新たな融資手法ABL(アセット・ベースト・レンディング)を駆使し、県内の中堅・中小企業の資金提供を実施する。1月には盛岡市湯沢の家庭用雑貨卸業、熊善商店(熊谷正社長)に市内の企業で第1弾の融資を実行した。順調に融資案件を増やしている。
ABLは在庫や売掛金など動産を担保に運転資金などを提供する流動資産担保型融資手法。企業の事業そのものに着眼し、商品在庫や売掛金など流動性の高い事業収益資産を活用するもの。
アメリカの金融界では、既に融資手法の一つとして定着しており、日本では05年に動産譲渡登録制度が創設されてから導入された。中堅・中小企業の資金調達手段の多様化や過度に不動産担保・個人保証に依存しない資金調達手段の確立を図るために活用されている。
同行では06年3月に第1案件を実行し、県内メーカーを中心に昨年末まで4社に同手法で融資を行った。
今回の熊善商店で5社目の案件。盛岡市内で最初の企業で、流通業では最初。売掛金を担保とした融資。同社は1950年の創業。家庭用日用雑貨や化粧品、小間物などを扱う県内最大手の卸会社。融資額は1億2千万円で運転資金と仕入れ資金などが主な使途。
同行法人営業部の冨手裕基主任調査役は「従来は不動産など固定資産を担保とした融資が主流だったが、新たな手法により融資が多様化した。当行もこの手法を駆使し多くの業種に広げていく。これまでは水産加工などメーカーに融資したが今回は初の流通。会社にとっては資金調達力の強化が可能になる」という。
流動資産を担保にしたことで融資先企業の在庫や売掛金の動向を注視することになる。「当行では顧客の課題解決のためのソリューション営業を掲げ各顧客の個別な経営課題の相談にも応じている。新融資の活用でさらに顧客との関係も深くなる」と冨手調査役。
技術力がありながら固定資産不足などで融資を受けられない企業にも、ある審査基準に達すれば融資が可能となる。「県内企業にも新手法が認知されてきた。当行でも幾つかの案件を抱えている。地域密着型金融機関として当手法を駆使して地域企業の支援を行い、地域経済の活性化に寄与したい」と話している。 |