2008年 2月 5日 (火) 

       

■  〈賢治の歌〉1011 望月善次 ナリトナリアナロ御堂の

 ナリトナリアナロ御堂のうすあかり
  毘沙門像に味噌たてまつる
 
  〔現代語訳〕ナリトナリアナロ(踊る者よ、讃歌に依って踊る者よ、火神よ)、御堂の薄暗い中、毘沙門天の像に味噌をお供えし、(病気平癒を)祈るのです。

  〔評釈〕「祭日」〔二〕、『文語詩未定稿』の短歌形四連のうちの三連目。「文語詩」における短歌形の意味や、非短歌形から短歌形への推敲(すいこう)については、既に述べているので繰り返さない。また、四連構成は、漢詩の「起承転結」をも連想させることについても既に述べたところであるが、抽出歌は、その点からすれば、「転」に相当するわけである。が、この連の意味は、第二連などとむしろ連続的であり、「転」に相当するような急激な変化はここでは起こっていないと考えてよいであろう。「御堂」の中にあった毘沙門天像は、現在は宝物庫に収められているが、この毘沙門天には味噌を奉納するのが当地の風習。先駆形には、像の脛(すね)に味噌を塗りながら、病気平癒祈願した様が具体的に描かれている。

(盛岡大学学長)

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