2008年 2月 7日 (木) 

       

■  〈お父さん絵本です〉195 岩橋淳 むかでのいしゃむかえ

     
   
     
  以下、ネタバレ御免でまいります。…むかし。ある村の屋敷での、虫たちの寄り合い。宴もたけなわ、その中の1匹が急に腹痛を訴えて寝込んでしまいます。とにかく医者を呼ぼうということになり、きっと歩くにも速かろうと、足の数の多いむかでに白羽の矢が立てられます。ところが、待てど暮らせど、医者は来ない。しびれを切らせた一同が玄関に出てみると、式台にむかでの姿。やれやれやっと着いたかと思いきや…。

  のどかな中にも風刺の効いた、笑い話の代表格。てっきり中国あたりに原典でもあるかと思いきや、これは山形や能登に伝わる民話(酒を買いに行くパターンもあり)なんだそうです。

  有事に際しての人選を誤った任命権者や期待されながら応えることのできなかった当人にとっては笑うに笑えない事件ですが、えてして本人たちが大まじめであればあるほど、滑稽(こっけい)さが増してくるもの。おかしみに満ちた(時には妖しさ、恐ろしさも同様に描いてしまう)飯野ワールドとのジャスト・フィットが、あたかもオリジナルの物語であるかのような感覚さえ覚えさせるという、決定版的1冊です。

 【今週の絵本】『むかでのいしゃむかえ』飯野和好/作、福音館書店/刊、780円(税込み)2歳〜(1996年)


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