2008年 2月 16日 (土) 

       

■ 市町村への合併勧告は難しく 県推進審議会で厳しい制約

 県市町村合併推進審議会(会長・斎藤俊明県立大教授、委員10人)は15日、盛岡市内で開かれ、合併協議会設置の市町村に対する勧告について答申原案を審議した。「住民が合併か単独かを的確に判断するのに必要な材料を積極的に提供する責務がある」と市町村の責任を明記するが、市町村の自主性を尊重する方向。合併協議会を設置するよう知事が勧告を行うかどうかについては「(勧告が)有効に機能する」場合に限り行うとする条件を付ける。勧告を行う場合は、合併新法期限の2010年3月を見越し今年秋までとする。3月17日に開かれる次回会合で答申をまとめる予定。

 同日は、全国で唯一市町村合併の協議会設置を勧告した福岡県の視察例を踏まえ、斎藤会長と田島平伸県立大教授が「答申の論旨案」を提示。これを基に委員が意見を交わした。

  それによると、旧合併法で合併した市町は「合併で行財政基盤を強化して地方分権社会にふさわしい体制が整えられている」とする一方、「非合併市町村は人的、財政的に脆弱(ぜいじゃく)であり、権限移譲が進まないなど分権社会にふさわしい行財政基盤を備えているとはいいがたい」と指摘した。

  「非合併市町村は当面自立を掲げているが、自立と言い得るには単年度の財政の収支均衡で足りるのではない」とし、「新法の期限を考えれば『当面自立』は問題の先送りであり、将来のまちづくりを見据え、合併か単独か覚悟を持って決める時期」と主張。市町村は、住民に対して持続的、安定的な行政サービスが提供可能か、合併か単独かの場合の比較など判断材料を示すための議論の場を用意する責務があると主張した。

  そうした議論は市町村同士が合併協や任意協議会、研究会など「オープンな場を自主的に設け、自ら進めるのが望ましい」と市町村の主体性を尊重した。

  そのうえで知事による合併協設置の勧告は、議論の促進効果があるものの、「合併の強制」と受け止められマイナスに働く要素もある。そこで「勧告は有効に機能する(合併協の設置が見込まれる)場合に限り、活用されるべき」と条件を付ける考えを示した。

  例えば、構成市町村で首長は設置に消極的だが、議会が望んでおり、合併推進の決議が構成する議会すべてで行われるなど意思確認できる場合などを条件に挙げた。議会や住民意識の機運醸成が一定程度図られている段階に限定している。

  審議会が実施した県下30市町村の勧告に対する考え方は、「勧告」を支持するのが大船渡、一関、藤沢3市町、不支持が23市町村、どちらともいえないが滝沢村を含む4市村だった。

  委員の鎌倉公順花巻青年会議所相談役は「県として一斉に勧告し、県内で議論してもいいのでは」と述べ、合併協議会が合併是非そのものの議論の場になるという前提で勧告実施を支持した。

  県町村会長の稲葉暉一戸町長は「あくまで民主的な原則でやるのが自然」と抵抗感を示した。元山形村長の清水恭一元久慈市特別参与は「勧告はせんえつ。背中を押してあげるのとは違い押し付け感がある」と反対意見を述べた。

  同時に「常識的におかしければ勧告ということもある」(谷藤裕明盛岡市長)、「勧告は強制、命令口調的イメージがあるのでソフトな言葉に変えるべき」(平野多佳子氏)と慎重な意見もあった。

  福岡県の例は豊前市から吉富町に合併協議の申し入れがあり一度頓挫したものの、両議会の推進派の要請を受ける形で県が勧告を出した。法定合併協は設置されたが昨春の改選で反対派の町長が就任し現在は休止状態という。

  田島教授は「選挙の流れで合併への意識が薄れた。タイミングを逃してはいけない。誤解のない情報提供が必要」と感想を述べた。

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