2008年 2月 17日 (日) 

       

■ 〈賢治の歌〉1022 望月善次 ますらおは果てなき務め

 ますらをは はてなきつとめになひ
  たち 身をかなしまず とはに行く
  べし。
 
  〔現代語訳〕立派な男子というものは、終わりのない義務を負って立ち、自分個人のことなどを悲しまず永遠に(道を求めて進んで)行くべきものです。

  〔評釈〕『校友会会報』第三十四号の、「銀縞」名の「黎明のうち」九首中の二首目であるが、「歌稿」からは脱落している。一連九首のうち、「歌稿〔A〕」に採ったものは四首のみで、しかも「歌稿〔B〕」においては、それさえも削除している。抽出歌も、「ますらをの 偉きつとめは わすれはて たゞやすかれとつとむる群は。」〔479歌原歌〕、「をのこらよ なべてのもののかなしみを になひとわれら とはにゆかずや。」〔478歌原歌〕に挟まれていて、この配置からも意味は明瞭。「ますらを」は、優れている意味の「ます(増・勝)」+「を(状態を表す接尾語)」+「を(男)」で、「たわやめ」の対〔『岩波古語辞典』〕。理念的傾向歌は、具体性に欠けるのは常で抽出歌も同様。
  (盛岡大学学長)

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