2008年 2月 19日 (火) 

       

■  〈夜空に夢見る星めぐり〉205 八木淳一郎 デンチュウでござる(その2)

 デンチュウといっても、忠臣蔵の松の廊下の「殿中」ならぬ「電信柱」の電柱であることを、前回申し上げたのでございました。

  さて、地主である某建設会社から、デンチュウの移動を要請された某電力会社。断ることの出来ない立場にある電力会社の方は、これによって星空の視界が妨げられることになるわたしどもの星仲間に、工事に付随した様々な事柄を、同情しつつも懇切丁寧に説明したのでした。

  一方、いくら権利とは申せ、お隣さんに電柱をギッチリと近づけるのだから、プロであればことにも、マナーとして一言あいさつと説明をした方がいいのでは、と、かつての地主だった不動産会社と電力会社の人からさとされた某建設会社さん。そんな必要ない、とあくまでも素知らぬふりを決め込もうとしたのですが、説得に応じて渋々星仲間の彼と会うことになったのでした。

  目を背けたまま、終始ぶぜんとした表情の建設会社の担当さん。「電柱をこのままにしていることで当社の物件が売れないことになったらお宅で保証してくれるのか」とか、「電柱を移すことで周りに住んでいる人たちが恩恵にあずかるのだ」など、高圧電線以上に〓高圧的です。素人相手のプロのマニュアルなのでしょう。思いやるといったことは微塵も感じられない会見だったようです。かつては公共事業を専らに栄光の時代を築き上げた会社ですが、長い間権力者サイドにスタンスをとってきたことで高飛車な社風になってしまっているのでしょうか。一市民に一言あいさつや説明をする、といったことさえきっとプライドが許さないのかもしれません。企業は人なり、という誰かの言葉が思い出されました。

  さて、電力会社の方は今回のことが色々な意味で大変勉強になったとのこと。そして、自分は一関の出身で、母校の山の目小学校の屋上にあった大きな望遠鏡で何度か土星を見せてもらった記憶があるということも話してくれたのでした。え!あのニコンの15センチ屈折望遠鏡で実際に見た人が身近にいたとは!この機種は小岩井まきばの天文館の20センチ屈折望遠鏡の姉妹機です。昭和49年当時、いや今だって、これだけの望遠鏡を備えた小学校は全国にそうあるものではありません。実は、山の目小学校のPTAの方々の造詣の深さと決断にはかねてより尊敬の念を抱いておりました。

  電力会社の彼の話を聞くにおよんで、某建設会社の不愉快顔左衛門のことなど、どこかへ吹っ飛んでしまったのでござりまする、おのおのがた。

(盛岡天文同好会会員)

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