2008年 3月 3日 (月) 

       

■  伝統芸能師佐々木さんが「神楽とともに」 「大償」の歴史を紹介

 伝統芸能師の佐々木隆さんが著した「神楽とともに」(県文化財愛護協会編)が刊行された。物心ついた時から大償神楽の練習に励み、国際公演なども行ってきた佐々木さんが、自身が研さんに努め体得してきた神楽について解説。舞いだけでは伝えられない思いや理論などを紹介している。

     
  神楽の歴史をひもといた佐々木隆さんの著書「神楽とともに」  
 
神楽の歴史をひもといた佐々木隆さんの著書「神楽とともに」
 
  佐々木さんは7歳の時、祖父に「猿の踊りっこ教えるがらな」と神楽の「三番叟の舞」を手ほどきされ、以来、60年以上も神楽とともに人生を歩んできた。

  早池峰山のふもと花巻市大迫町内川目大償地区に伝わる大償神楽は、伝承記録は火事で消失されたとされるが、早池峰開山(807年)に深い縁があったとされ、「能が大成される以前の古い形態を伝承するまれに見る芸能」と評価される。1976年に国の重要無形民俗文化財に指定された。

  内川目岳地区の早池峰神社には岳神楽が伝承され、2つの神楽は兄弟神楽とされてきた。それぞれ7拍子、5拍子や「山の神」の面が「阿」に対して「吽(うん)」などと違いがある。佐々木さんは長年培ってきた経験などから両神楽を比較し、両流一体説を唱えている。

  これまでの説は舞いの振り付けや体の動きなどが正反対に仕組まれていることから、大償を「表面」とし、岳は「裏面」をあらわしているとされてきた。だが、佐々木さんは著書の中で父親の言葉を引用しながら「大償神楽が舞い方を忘れてしまい、これを復活する時、岳の舞い方を見てヒントを得ることが出来るよう仕組んだのだという。ここに恒久不滅の願いが込められている」と述べている。

  このほか、同書では67演目の概要や面の種類などについても解説。佐々木さんは神楽について単なる伝統芸能ではなく信仰によって支えられてきた「祈りの芸」であることを忘れてはいけないと苦言を呈している。A5判、130ページ。価格は1260円。問い合わせは同協会(電話661−9688)まで。

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