2008年 3月 6日 (木) 

       

■  〈賢治の歌〉1040 望月善次 あまりにも心傷みれば

 あまりにも
  こゝろいたみたれば
  いもうとよ
  やなぎの花も
  けふはとらぬぞ。
 
  〔現代語訳〕余りに、心が傷んでいるので、妹よ、ヤナギの花も今日は取りませんよ。

  〔評釈〕「冬のフケッチ」三七の四区切りの二つめ。以後、「短歌」と認定し得るかの境界線にある作品のいくつかを取り上げることにする。抽出作品の場合、その音数を確認すると、五九五七七となる。第二句の九音が二音の字余りであるが、全体は五つに分かれているから、作者の意図は別にして、一般的には、この部分を「短歌」と認定することには、それほどの異論は出ないであろう。一方、「短歌」と認定することを否定する立場に立てば、第二句の字余りの他、初句の「あまりにも」、第三句の「いもうとよ」、結句の「けふはとらぬぞ」が、口語的度合いが高過ぎることと、何と言っても他の部分との関係が問題となろう。なお、短歌形式が、文語を必然としないことだけは断っておきたいと思う。

  (盛岡大学学長)

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