絵本、と聞いて本作を挙げる方は多いはず。国内の絵本では知名度ナンバーワン。公式の副読本あり、思い入れたっぷりの読書サークルあり、いまさらくどくど拙文でご紹介するまでも…、とも思っていたのですが、そうもいきますまい。
ぐりとぐら。フランスの絵本に由来するしゃれた名前を持つこのふたごのねずみは、その仲の良さはもちろんですが、料理と食べることが大好き。森の散歩(もっぱら食材採集なのですが)の途中で大きな卵を見たふたりの脳裏には、どうやって(孵す、ではなく!)食べようかという思案が駆けめぐるのも、まぁ無理からぬこと。
家からフライパンを持ち出して、ふたりは卵で何を? と問うと、多い回答は卵焼き、ホットケーキ。どっこい、ここは「かすてら」なんですね。…これは正誤の問題ではなく、読み手の中で、それぞれにイメージが生まれ、育っていることの表れではないかと思うのです。いずれにせよ、読者の食欲を刺激する、絵本史上屈指の「おいしそうな名場面」であることは揺るぎないみたいです。生誕45年、まだまだ読者は増え続けています。
【今週の絵本】『ぐりとぐら』中川李枝子/文、大村百合子/絵、福音館書店/刊、840円(税込み)3歳〜(1963年)
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