■ 〈胡堂の父からの手紙〉158 八重嶋勲 オルガンの品を見立てて一報を
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■218巻紙 明治40年3月30日付
宛 東京市小石川區高田老松町二十八、
吉田方止宿
発 岩手縣紫波郡彦部村
前略去ル廿五日金拾円郵便為替ヲ以テ送金セシ筈定メテ受領セシナラン
昨日電報ニテ金三拾五円請求ニ候得共金束(策)致兼金拾五円送付致候、残金ハ都合次第不日送付致候、右用事迄、早々
三月丗日 野村長四郎
野村長一殿
徴兵猶豫願ハ成(正)規之通取計ヘ(ヒ)候
【解説】「前略さる25日、10円を郵便為替で送金したので、きっと受領したことであろう。
昨日電報で35円の請求があったが、金策しかね15円送付した。残金は都合でき次第その内に送付する。右用事まで、早々
(追伸)徴兵猶予願は正規の通り取り計う」という内容。
相変わらずの学費の請求、金策、送金の交信である。
■219巻紙 明治40年4月7日付
宛 東京市小石川区高田老松町二十八、
吉田方
発 岩手縣紫波郡彦部村
前略金貳拾円請求ニ候得共此三日間中ニ拾円丈金束(策)致候ニ付久保ニ委シ送付致候、残金拾円ハ五六日中ニ送付可致候、
久保ノ老夫婦本日上京致候、餞別ハ壱円セリ、学校ノ都合ヲ見斗(計)ヘ(ヒ)、克ク案内シテ見物セシムル様ニ可致候、併シ為メ学校ノ方欠席セサル様ニ可致候、
耕次郎ハ高山養蚕学校ニ入学希望ニモ候得共本年ハ年齢少ナキ故見合ニ致候、若シ明年ニ至リ都合宣敷ハ入学セシメ度見込ニ候、
ヲルカン寄付モ目下八十円余記帳相成、最早申込ム見込ニ有之候、博覧會ニ出品ノモノ品質善良ナラント被思候、五、六十円ノ品見立各商店比較シテ一報相成度候、
乍毎度学資金比較的多額ナリ何カ節険(倹)スル途ナキヤ、其邊ニ注意セラレ度候、右用事迄、早々
四月七日 野村長四郎
野村長一殿
【解説】「前略20円の請求であったが、この3日間のうちに10円だけ金策できたので屋号久保の叔父様に頼み送付した。残金10円は、5、6日中に送付する。
屋号久保老夫婦(石杜倉松)が本日上京する。餞別を1円差し上げた。学校の都合を見計らい、よく案内して見物させるようにせよ。しかし、そのため学校の方欠席しないようにせよ。
耕次郎は高山養蚕学校に入学を希望しているが、本年は年齢が若いので見合わせることにした。もし明年になって都合がよければ入学させたい見込みである。
オルガンの寄付も目下80円余記帳になった。もはや申し込む見込みである。博覧会に出品の物が品質がよいだろうと思われる。5、60円の品を見立て各商店を比較して一報してもらいたい。
毎度ながら学資金が比較的多額である。何か節倹する途がなきや。その辺に注意されたい。右用事迄、早々」という内容。
長一の母方の叔父の家の養父石杜倉松老父婦が孫庄作(長一の従兄弟)の眼病手術の見舞いのため上京。その案内を学校の授業の合間を見てするように指示している。
彦部尋常小学校のオルガンの購入について、明治40年に東京上野公園で開催中の東京勧業博覧会で、品定めするのがよいだろう、出店各商店をよく見比べてその情報を知らせよ、といっている。村長である父長四郎はさすが目先が利いている。
(岩手県歌人クラブ副会長兼事務局長) |
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