2008年 4月 6日 (日) 

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉208 八木淳一郎 人と太陽と

 太陽の黒点の数が11年の周期で増えたり減ったりすることを発見したのは、19世紀のドイツのシュバーベでした。20世紀になって、イギリスのマウンダーが黒点の出現した太陽面の緯度と時間経過を組み合わせてグラフに記していくと蝶(ちょう)が羽をひろげた形になることを発見しました。これを蝶形図と呼んでいます。

  歴史上、小氷河期と呼ばれた北半球が雪と氷に閉ざされた酷寒の時が何度かありましたが、このころは長い間、全くと言っていいほど黒点のない時代が続いたと推測されています。黒点の増減は太陽の活動を反映した重要な現象の一つと考えられていますが、これから先もずっと黒点がきれいな蝶形図を描いていってくれるのか、それはまだ誰にも分かりません。ただ一つ言えることは、人類をはじめ地球上の生命の多くが、太陽に運命を託しているということでしょうか。

  もう一つ、太陽と私たちをつないでいることがあります。

  それは、身体をつくっているありとあらゆる元素、例えば、水素や炭素、酸素、鉄や銅、カルシウム、リンをはじめ亜鉛、マグネシウムなどといった微量な元素にいたるまで、太陽も同じものでできているということです。しかも各元素の割合も似かよっています。私たちの運命を左右する太陽ですが、かといって、私たちを作ったのまでは太陽ではありません。それではどうして似ているのでしょう。

  結局、共通したものによって作られた、ということになります。その生みの親とは「星」です。太陽が誕生するずっと前、はるか昔に輝いていた星が最後に超新星爆発を起こし、宇宙空間にガスやちり、私たちも太陽も作り出すもろもろの元素を放出しました。これが再び集まって太陽や、太陽を巡る地球などの惑星と地球上の生命が誕生しました。星によって生み出されたことで、ヒトは「星の子」と言われます。

  星の子であることを日常、実感することはありません。けれども、誰もがふと星空を見上げたときにこう思ったことがあるのではないでしょうか。

  もし自分という人間が生まれてこなかったらこの広大な宇宙でさえないに等しい。それが、生まれてきたことによって、こうして宇宙というものの存在を知り、思いを巡らせることができる。

  自分が生まれてきた場所はこんなにも広い悠久の世界だったのだ。あまたの星がちりばめられていて夜ごときらめいている世界。そして、確かに自分もその一員なのだ、と。
(盛岡天文同好会会員)


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