県は08年度から3カ年の県権限移譲等推進計画を策定した。これまでの県事務の市町村への移譲指針を発展的に解消し、同計画を今後の権限移譲の基本と位置付け、県内での県から市町村への権限移譲の推進を図る。計画は市町村や民間がメンバーに入った県分権推進会議の議論などを踏まえ策定したもので、県内部の検討を中心にまとめた指針に比べ、市町村や民間側の考えをさらに反映させた内容。35市町村ごとに移譲に関するプログラムを策定することとしている。移譲に対する市町村の温度差が課題の一つに挙げられていたが、計画の実施によって加速、拡大が期待されている。
県から市町村への権限移譲で県は、05年4月に指針を策定。07年5月に改訂し10年度までの期間で推進を図ってきた。県では07年度、知事を座長に県内市町村長の一部や民間団体の代表、学識経験者らで分権推進会議を設置。全庁的な取り組みを並行させ、策定作業を進めてきた。検討協議を踏まえ、指針に代わるものとして計画を策定した。
計画は住民本位の行政サービスの一層の向上を目指し、県と市町村との望ましい役割分担を明確にしながら体系的に権限移譲を進めるのが目的。計画の意義や取り組み内容、各分野ごとの役割分担の考え方、分野別の移譲対象事務一覧表で構成される。
計画策定に当たっては分権の受け皿である市町村が推進会議などを通じて、意見も数多く提出するなど主体的にかかわったことが指針との大きな違い。権限移譲では、住民に身近な行政サービスは住民に最も身近な市町村が担い、県が広域的、専門的なサービスを担うという市町村優先の原則を打ち出し移譲を進めている。これまで権限移譲の実績がなかったり少なかった市町村にも、分権の推進に対する主体的意識が高まりを見せ始めている。
指針との違いは、各分野における役割分担の体系的な明確化が図られ、住民の視点により対象事務を分類したほか、人口規模に対応した専門業務の拡大や個別法に基づく移譲事務の追加の変化もあった。基本的な考え方として住民視点や役割分担とともに市町村行政の総合性を高めることを挙げている。
期間は今年度から3カ年だが、07年度に準備作業、諸手続を進め08年度から移譲した権限も期間内に入れ、10年度に進め11年度から移譲するものも包含する。
県では全35市町村ごとの権限移譲プログラムを今年度内に策定したい考え。プログラムにはそれぞれの市町村で具体的な移譲対象や実施時期、研修方法などを盛り込み、着実な推進を図る。5月8日の説明会で、全市町村と県でプログラム策定の意義などについて共通認識を深めていく。
移譲における財源措置や人的支援、適正な事務処理確保のための支援などを整理して記載している。
県の和山敏秀権限移譲・振興局再編担当課長は「分権推進会議には市町村長や民間も入り、計画への意見聴取でも質、量ともに多くの意見をもらい、県だけではなく一緒に作ったといえる。今まで実績のなかった市町村への波及も進んでおり、市町村の権限移譲に対する理解が深まり、それぞれの市町村で可能な範囲で検討、実現していってもらいたい」と、市町村の積極姿勢に期待する。
県では先行改組された県南広域振興局に続き、10年4月から4広域振興局体制への移行を目指している。和山課長は「振興局再編がこれから本格化する。市町村がどのぐらい権限を得るかによって広域振興局の役割を考えていかなければならない。時期を見定めて権限移譲と振興局再編に取り組んでいきたい」と話している。 |