2008年 4月 17日 (木) 

       

■  医師不足をどう切り盛り 佐々木県立中央病院長が県議会で現場報告

 県議会の医師確保・少子高齢化対策特別委員会(三浦陽子委員長)は16日、佐々木崇県立中央病院長を招致し、県内の地域医療の現状と医師不足対応について聞いた。佐々木院長は医師数の少ない県内医療圏への応援体制について、独自の対応策などを説明した。

     
  県内の医師不足の現状などを説明する佐々木院長  
 
県内の医師不足の現状などを説明する佐々木院長
 
  人口10万人当たりの医師数がOECD加盟国の平均に対して日本は7割にとどまり、医師の不足数が多いことを紹介した。イギリスではサッチャー政権時代の医療費の大幅削減で医師が国外に流出し、国内の医療体制が停滞した。ブレア政権になって99年から医大の定員5割増が図られたという。

  「医師の育成は10年かかる。イギリスは成果が出始めるころ。同じ現状が日本で起きたらどうなるか。岩手医大の定員増がどこまで効果を発揮できるか」と現状を憂慮した。

  同院は06年実績で新規入院が1日44人、平均在院日数が13・2日、病床(730床)利用率が87%と「現状は不都合な状況にない」と説明。一方で救急搬送は年間5016件、1日当たり13・8台、手術数は5161件と10年前と比べて大幅に増加した実態もある。

  こうした中、県内の医療圏では基幹病院の勤務医減少などで医師不足が常態化。これを補うため副院長はじめ医師を派遣する地域医療応援を実施し、地域に残った勤務医を援護、ケアしている。

  勤務医不足でも、地元の開業医が必要な治療や緊急度に応じた2次搬送の準備などプライマリーケアができれば、患者への影響は低減可能という。実際は開業医の高齢化や不在の地区も多く、医療応援の重要度が高い。

  ここで活躍しているのが研修医だ。初期臨床研修2年を終えた研修医について、大学や研究機関に行く前の2年間、地域医療応援のスタッフとして独自に確保している。初期時も2カ月間の地域医療研修を設けている。佐々木院長は「研修医はわれわれより有能なプライマリーケアが可能」と説明した。

  地域医療応援の06年実績は年間2847回。「派遣先までの平均距離が片道40〜50キロだとすると、年間で地球を約8周(赤道1周4万キロ)するスケジュール」。日勤後に当直をし、翌日も日勤する繁忙ぶりだ。

  全国の有名研修病院の医師1人当たりの病床数は同院に比べて1・5〜2倍以上も上回っている。同院以外の研修病院は地域医療応援は実施していない。佐々木院長は「それでも県内には県立23病院があり、医師不足に対応もできるが、宮城県や青森県はそれができず苦労している」と本県の特徴を説明した。

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