2008年 5月6日 (火)
■ 〈渋民イオン開店〉行政の境を越える商圏 周辺市町村は懸念
盛岡市玉山区渋民にイオン盛岡渋民ショッピングセンターが開店した。商圏は玉山区のほか八幡平市、岩手町、滝沢村を中心に約7万9千人を見込んでおり、県北の流通業に大きな影響を及ぼすとみられる。八幡平市や滝沢村の小売業者は購買力の流動化を懸念する一方、玉山区では新たな商業核の出現に期待と不安が入り交じる。イオンの3店時代を迎えた盛岡都市圏は、大型店同士のせめぎ合いも一層激しくなりそうだ。
開店後ににぎわうイオン盛岡渋民ショッピングセンター
イオン盛岡渋民ショッピングセンターは盛岡市に本社を置くイオンスーパーセンター(岡崎双一社長)が4月25日開店した。直営部門と30の専門店で構成し、足湯や産直など売り場に地域色を取り入れ、盛岡市内の本社側2店舗とは違うカラーを打ち出す。
同センターとは目と鼻の先にある地元スーパーのヤマゴンコーポレーションの工藤清博社長は「イオンが来てどれくらい売り上げに影響が出たか心配して聞く人が多いが、来客は2割ほど増えた。思いがけなかった」と話し、地域的な「シャワー効果」を感じている。
「休日に盛岡に行っていた人が、西根や岩手町から入ってくるようになった。以前は土日は平日の倍売れていたのが逆転し、平日の売り上げが土日を上回っていたが、イオンの開店で土日も期待できる。玉山ではうちとタクシーがイオンの恩恵を被っているのでは。イオンのすぐそばでむしろ良かったくらい。離れていればきついだろう。玉山の業者の多くが厳しくなるのではないか」と話し、地元初の総合大型店のインパクトを受け止める。
滝沢村商工会の小野明経営支援課長は「正確にどの程度かは1カ月過ぎないと分からないが、影響はあると思う。交通条件や業態、規模により影響の度合いは異なる。地元の大型スーパー、大型専門店も影響が出るのでは。商圏が比較的広い店なので、玉山区や岩手町からこちらに来なくなり、村の商圏が縮む影響が出るかもしれない」と危ぐする。
八幡平市商工会の菅野正孝事務局長は市内への影響について、「影響はあるだろうが具体的にはまだ聞いていない。店は産直のブースの品ぞろえが良く、地元の物がたくさんあるという。既存の産直にも影響があるのでは」と話し、消費者に多様な求心力を及ぼすと見る。
八幡平市の地元購買率は7割以上と、県内では高い水準にある。盛岡市内へは一定の距離感があり、既存のイオンの影響は比較的緩和されていた。同センターの出店で大更地区は車で20分程度の商圏に入った。同商工会の田村富美男経営改善担当課長は「盛岡しかなかったものが県北に初めて出た。盛岡より近く車で15分か20分。これまでもマックスバリュなど大型店はあったが、小売りは影響を受けるだろう」と話す。
イオンスーパーセンターの福本剛史取締役総合企画室長は開店日の記者会見で、「地元の良い物に関する情報発信基地、経済開放区としてやっていきたい」と店舗運営の方針を説明した。「地元の県北沿岸のメーカーや商店が、後継者問題であったり投資が過剰で耐えられない、チャンスがなかった方々がいる。什器を用意してレジの人手などもカバーする。われこそはと思う人は来てほしい」と話し、地場産品を重視する姿勢を示した。
盛岡市内のイオン2店舗や八幡平市のマックスバリュとは、グループ内で住み分けたり、競合したりする可能性がある。岡崎社長は「その両方だが、お互い切磋琢磨(せっさたくま)する部分もある」などと話した。今後は系列内の店舗間競争も予想される。
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