2008年 5月12日 (月)
■ 〈葛根田崩落〉崩落拡大の恐れは少ない 国交省の現地調査で判明
地図などを基に今回の崩落のメカニズムなどを説明する藤澤上席研究員
国土交通省東北地方整備局などは11日、大規模崩落が起きた雫石町葛根田地区で現地調査をした。その結果、今回の崩落発生のメカニズムは過去1〜2千年前から続く崩落の残りが、融雪期の雪解け水で地下水量が増えたためと結論づけた。ただちに2次崩落する危険性は低いと説明し、来季の融雪期でも崩落の可能性があるのは発生地から半径200〜300メートル範囲にとどまるとの見解を示した。このため葛根田川から1・5キロ下流の滝ノ上温泉の営業に支障はないという。
現地調査は同局と岩手河川国道事務所、県県土整備部と盛岡地方振興局土木部、独立行政法人土木研究所つくば中央研究所土砂管理研究グループ地すべりチームの約20人が参加。調査後、土木研究所の藤澤和範上席研究員らが記者会見した。
藤澤研究員によると、2千年前までさかのぼる大規模崩落の長さ500メートル、幅200メートルの範囲に崩れ残った土砂は、年間数ミリ単位で葛根田川のある下方に移動している。先端部分が少しずつ崩落し、1987年(昭和62年)と98年(平成10年)に直近の上下流部で今回よりも小規模な崩落が起きている点などからも推定できるという。
今回の崩落は、融雪期の雪解け水が地すべり面へ大量に流れ、一気に崩れたためで「来年4月も雪解け水が地すべり土塊(どかい)に供給されれば発生の可能性はある。現在大きく土砂が動いている危険性はないし、すぐに崩れる可能性もない」と説明した。
現地の下流100メートル付近に亀裂を確認している。このため発生場所から半径200〜300メートル範囲は警戒が必要になるという。今後季節を迎える梅雨や大雨は、雪解け水量に比べ降水量が少なく、崩落の可能性が低いと評価。地震の影響も同様に解釈している。
対策としては、発生場所に井戸を必要な深さまで掘り、そこと垂直になるよう横にボーリングをし、雪解け水を抜く工事が必要になる。その後、上部にたい積する土砂を除去して、下部に移動させ崩落しないよう安定させ、道路を通していく方法が考えられる。
藤澤研究員は「まだ発生から1カ月経過しておらず、梅雨時期など1年後の融雪期に向けて観測データの蓄積が必要。2年間は継続するべき。ただし工事が完了すれば道路開通はその前でもいい。滝ノ上温泉には被害が及ばないので規制の必要はない。交通規制のゲートは地熱発電所前まででいいし、夜間は監視できないので日帰りは許可するなどして再開しては」と話した。
東北地方整備局側は「水抜きの工法はこれから検討する。付近に温泉がある実情などを踏まえる。土砂撤去と道路の開通までには早くても今年度いっぱいはかかると思う」と見通しを説明した。
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