2008年 5月14日 (水) 

       

■  高橋清明さんが「南部史考」発刊 朱印状から戊辰戦争まで考察

     
  長年の研究を一冊の「南部史考」にまとめた高橋清明さん  
 
長年の研究を一冊の「南部史考」にまとめた高橋清明さん
 
  盛岡市中央公民館の元館長、高橋清明さん(62)は、これまで研究してきた南部氏の歴史を「南部史考」にまとめた。同館などでの約20年にわたる調査が基になっている。市販の研究書などに発表した論文などを集めた。「地元のことを知るきっかけになってほしい」と期待を込める。

 高橋さんは1970年、盛岡市職員に採用。40歳の時に希望を出し続けた市中央公民館への異動が実現した。以来、南部氏の歴史を本格的に調査し講演や論文執筆を精力的にこなした。研究に仕事としての制限がなくなった退職後、自宅に「盛岡歴史研究所」を立ち上げた。今回は同研究所でまとめた初めての一冊となった。

  同書は南部氏の歴史を豊臣秀吉の朱印状から戊辰戦争後までを幅広く載せた。これまでの論文資料などを集めた高橋さんは「この数十年でずいぶんといろんなことをやってきた」と改めて驚いたという。

  同書には、青森県史の編纂で携わった民俗や宗教、雑誌「歴史読本」に掲載するために調査した南部家の女性史が入る。女性史を著述するものが少ないだけに編集前からぜひ入れたいと考えていた内容だ。最後の藩主南部利剛に嫁いだ水戸家の息女明子や家老楢山佐渡を支えた女性たちが紹介されている。

  水戸家から嫁いだ明子は最後の将軍となった徳川慶喜の姉。南部利剛に嫁いだものの、時代は幕末から明治維新。廃藩置県により盛岡藩、水戸藩もなくなり、夫利剛も旧幕府軍に与(くみ)したとして処罰された。過酷な時代を生き抜いた明子の生涯をつづる。

  後半の「南部藩と戊辰戦争」では敗者側から見た戦争を描く。敗者の中でも複雑に絡み合う背景を「奥羽越列藩同盟へ東北諸藩が結集したからと言って、各藩内部が同盟派で一枚岩に固まっていたわけではない」と述べ、「『今日は勤王、明日は佐幕』の流動的な政治状況に置かれていた」と真相を明らかにしている。

  今後、高橋さんは立ち上げた研究所で「多くの研究者らと手を取り合って盛岡の歴史を再発掘していきたい」と意気込んでいる。

  四六判。全283頁。税別定価2000円。各書店で販売中。問い合わせは小松茂印刷所(電話623−6073)。

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