■ 〈地産地消を本物に〜岩手型マーケットを創る〉2 大谷洋樹 立ちはだかる物流費用
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地域の食材を安定して供給するためには物流というインフラがしっかりと整っていることが条件。だが、物流費用の負担が大きな壁になっている。
沿岸と内陸。沿岸の水産品を内陸へどう配送するか。県北の久慈地域で物流の再構築を迫られている。この春まで内陸の流通事業者が同地域の水産品を集荷、盛岡などの一部の飲食店や小売店に配送していたが、その便が取りやめになったのだ。需要が限られコスト負担が重いうえに、いったん県南の物流拠点を経由するため、食材を使うユーザーには配送時間がかかることなどがネックになったようだ。
「これからだったのだが…」。春までの経緯を知る県久慈地方振興局の職員は残念がる。沿岸北部の海産物の場合、個々の配送量が少ない。この課題をどう解決するのか。
流通業者の撤退を受けて新たな配送ルートを模索する。需要が先か、配送ルートが先か。幹線ルートをつくれば、それを利用するユーザーと生産者の需要が生まれると考えた。九戸村の道の駅「オドデ館」と盛岡の大手量販店を結ぶ幹線ルートを検討したが、肝心の地域の反応は鈍かった。利用の多い既存の配送ルートがあれば利用したいというのが大方の反応。需要を地域一体でつくり出す課題が明らかになった。
生鮮品の物流は特に難しい。県北のある漁協は大手量販店から生鮮品の納入を打診されたが、やはりネックは物流だ。生鮮品の供給量は大手量販店の規模にしてみれば少ない。朝水揚げされた水産物をその日の夜までに納入するのが条件だが、盛岡への定期便がないことが壁になっている。この例も、量が多くない荷物を円滑に配送するための物流の担い手やルートづくりが課題だ。
八幡平地区の宿泊施設に野菜を供給する道の駅にしねの食材供給部門は赤字。課題はやはり物流だ。顧客への配送コスト負担が重いが、価格に乗せにくい。やはり物流コストをまかなうだけの量の確保、取引規模の拡大が決め手となる。担当者は「注文を受け配送するだけでなく、営業担当者を配置したい」と話す。生産者と宿泊施設のニーズをすりあわせるような機会をつくることが効率的な配送や取引拡大につながる可能性が高い。
岩手中央農協(紫波町)の産直・サービス部門の子会社、JAシンセラ(盛岡市)も地域の食材を供給する担い手として期待されており、学校給食向けでは存在感を増している。シンセラはホテルや外食店への供給も手掛けるが、配送費の負担で折り合わず、頓挫してしまった例もある。そこで、シンセラの店舗にとりにきてもらう代わりに決済条件を優遇する取引を提案、こちらの利用が増えてきた。
地産地消の物流を確保するのに妙手はない。ユーザーと食材の提供者(生産者)の潜在需要を掘り起こし、両者を結ぶ循環の輪をつくる地道な取り組みしかない。配送量を増やすことで配送負担を抑える工夫が必要になる。
生産者とユーザーをいかにネットワーク化するか。専門の配送事業者の知恵も必要だ。そして何より地域のリーダーシップがカギになる。効率的な仕組みをつくるためには地域の一体的な取り組みが条件になりそうだ。
(大谷洋樹)
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